コロナ禍で“蒸発"させられた韓国の若者たち

2020年の自殺者はコロナ死者数より多い、20代女性が最多

遺品を整理したクリーンキーパースのパク取締役は、「現場に出ると青年たちの追い込まれた状況や受けていた苦痛を感じてしまう。自分の年齢からすれば子どものような彼らが、夢の一部さえ見ることができないまま、後戻りできない選択をした場面を目の当たりにして実にくやしい」と打ち明ける。

コロナ禍で生じた社会的関係の断絶は、心の中に時限爆弾を抱えているかのようだ。自ら「孤独な青年」と口にするチャン・ヒョンテさん(24、仮名)は、コロナ禍以前まで「休憩所」での友人が唯一の社会的関係だったと言う。「休憩所」とは、生活支援や保護を一定期間受け、社会復帰や学業再開を支援する施設のことだ。彼は京畿道のある「休憩所」で生活した。年齢制限が来て「休憩所」を出た後、食堂で1日12時間、週6日働いていたが、2020年3月にコロナ禍を理由に辞めることになった。

コロナ禍で若者の心に生じた「時限爆弾」

チャンさんは2020年3月から6月まで、京畿道城南(ソンナム)市にあるアパートの半地下の部屋から1度も外に出なかった。社会と断絶したという孤立感と憂鬱さにさいなまれた。チャンさんは「休憩所にいるときはそこにいる人たちとの絆を感じていた。それが生きようという気持ちにつながっていたが、コロナ禍でそんな関係が切れてしまい、悪いほうに悪いほうに考えるようになってしまった」と言う。チャンさんはうつ病と診断され、現在は同じような診断を受けた若者の回復を支援する民間団体の施設で共同生活を行っている。

ソウル市自殺予防センターのチュ・ジヨン副センター長は、「これまでの自殺予防対策は主に中年・高齢層をターゲットにしたものだった。そのため、青年層に対しては『若いんだから頑張れ』と励ます程度だった。孤立と憂鬱感、経済的剥奪感などから前向きに回復できる、青年層向けのシステマティックな支援が必要だ」と指摘する。

(「ソウル新聞」2021年2月25日)

【2021年3月6日13時00分追記】初出時、サブタイトルに誤りがあり、修正しました。

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