「どうか耐えることができますように……」。ユン・ジスさん(24、仮名)は「Are you happy」と表紙に書かれた日記帳に1文字1文字、刻むように書き付けていた。大学を卒業したユンさんはアナウンサーになることを夢見ていた。普段から憧れていた著名ジャーナリストと会った後、あふれんばかりの喜びを日記に残していたユンさんは、その後、「アナウンサーになるのは単なる夢だった」と、一転して悲しさがあふれた文章を綴っていた。本棚には、学生時代に受けた賞状が置かれていた。2020年6月、短い人生を終えた彼女のワンルームマンションには、服用していた精神安定剤が発見されている。
職がない若者はリーマンショック時の1.5倍に増加
2020年、青年の雇用状況はコロナ禍が重なってこれまで以上に厳しい氷河期を迎えていた。韓国統計庁によれば、2020年に25~39歳の年齢層のうち就職した経歴がない「就業の経験がない者」は32万1654人だった。リーマンショック後の2008年当時の1.5倍となる。
青年層の体感失業率となる「拡張失業率」も25.6%(2020年7月基準)で、2015年1月に関連統計が策定されて以降の最高値となった。拡張失業率とは、公式の失業率が労働市場をきちんと反映していないという指摘を受けて、失業者以外にも1週間当たり36時間以下のアルバイトをしながら正社員への就職を準備中の者や暫定求職者などを含めて算出される。保健福祉部によれば、2020年上半期に20代女性の自殺率は前年同期比で43%増加した。
韓国・慶北大学社会学科のノ・チンチョル教授は「労働市場で男性よりも女性が低賃金・非正規職という状況に追いやられ、コロナ禍で経済的な打撃を強く受けてしまった。とくに、これから社会に出ようという時期に当たる20代女性には、将来への不安を強く感じたのだろう」と指摘する。