「コロナの本当の収束」想定しうる妥当シナリオ 2021年5月以降、これ以上の波はやってこない?

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ワクチン接種はやはり大きなポイントになりそうです(写真:Jose Sarmento Matos/Bloomberg)

「いったいいつまでコロナ禍は続くんだ!」

個人の心の叫びとしては理解できるこの言葉。ただ、経営者がもし心の底からそう思っているのだとしたらちょっとバツです。

経営者は事業に投資をする役割を任された人です。ですから投資の前提として、コロナ禍がいつ終わるのか想定しておく責任があるわけです。ちなみに経営者としての私は「コロナ禍の大きなピークは2021年5月まで」と想定しています。

コロナ禍に対処する有効な経営手法にはシナリオプランニングといって、どちらに転ぶか不確定な未来について複数の予測シナリオを持っておいて、もし世の中がそちらに転んだらどう作戦変更をするのかを考えておくという手法があります。

両極端なシナリオを想定しておく必要がある

悪いシナリオの例は「変異株が猛威を振るい今よりも世界の状況が悪くなる」ことがあるかもしれません。ウイルスというものは突然変異をするものですし、実際、世界で変異株が報告されていることは事実です。問題はそれがこれまでの新型コロナよりも悪い変異株でかつワクチンが効かないとしたら? もしそうなったら2021年の経営環境は最悪ですから、どれくらいリストラが必要なのかのプランが必要になります。

良いシナリオの例として「新型コロナが収まった今年の夏に東京オリンピックが無事に開催され世界中から観光客がやってきて経済が急に活気づく」ことを想定する必要があるかもしれません。「いやオリンピックは無理だろう」と勝手に決めるのではなく、開催に備えて自社商品やブランドをアピールするチャンスを逃さないように別の計画を用意しておくわけです。

この両極端のシナリオは、どちらもありえない話ではないので備えておく意味はどちらも経営者にとってはあるわけです。使うかどうかわからなくても、金庫にリストラ計画のファイルと、大プロモーション計画のファイルをしまっておけば「備えあれば憂いなし」ということです。

さて、今回の記事の中心テーマはそのどちらでもない中間シナリオをどう想定するのかという話です。

私は未来予測を専門とする経営評論家ですが、そもそもは経営戦略コンサルタントとしてクライアント企業の未来の経営環境を予測することからスキルを磨いてきました。いわゆる業務用の未来予測を30年にわたり担当してきたのです。

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