「コロナの本当の収束」想定しうる妥当シナリオ 2021年5月以降、これ以上の波はやってこない?

✎ 1〜 ✎ 42 ✎ 43 ✎ 44 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

現在、業務用の未来予測としては「新型コロナがどうなるのか?」が最大の影響要因なので、医学的なさまざまな意見を吸収しながら、それが社会と経済にどう影響をおよぼすのかを分析するのが私の仕事です。

その観点で情報をまとめるとさきほど述べた「コロナ禍の大きなピークは2021年5月まで」という予測が出てきます。その前提についてお伝えしましょう。

過去においてもパンデミックというものは何度も起きてきました。新型コロナのように大きなものは、20世紀のスペインかぜ、19世紀のコレラ、18世紀のペストといった具合に100年単位で人類を襲っています。

その歴史をみると、パンデミックには「その地域では1~2年で収束する」という共通傾向がみられます。スペインかぜの場合、1918年に発生して1919年も猛威を振るいますが1920年にはその被害は2桁近く少なくなります。

集団免疫はなかなかできていない

収束するための条件として集団免役というキーワードが重要です。スペインかぜ以前のパンデミックでは感染拡大した地域に自然に集団免役ができあがったわけですが、今回の新型コロナの場合は集団免役がなかなかできません。

今年2月5日に厚生労働省が12月に実施した抗体検査の結果を発表しました。感染が拡大した東京都で抗体陽性率は0.91%でした。昨年6月は同じ調査で0.10%だったので抗体を持つ人は増えているわけですが、それでも100人に1人弱しか抗体を持っていません。集団免役というのは70%ぐらいの人が抗体を持っている状態ですから、これでは全然足りないわけです。

論理的に考えると、わたしたちは外出時にはマスクをつけ、手洗いうがいを励行し、人との接触を極力避けて新しい生活様式になじんでいます。ですからこの新しい生活様式を続けているうちは抗体ができない。つまりこのまま前提が変わらなければ「自然に免役を獲得することはない」ことが想定できます。

一方で、前提が変われば予測も変わります。この集団免役の問題に関して前提を変えるのがワクチンです。

日本政府の新型コロナワクチン獲得については当初6月までに6000万人分と発表されていた基本合意から遅れてしまい、確定したファイザーとの契約は年内に7200万人分と後ろ倒しになりました。先進国の間でワクチン枠の分捕り合戦が起きていて、アメリカにしてもEUにしても自国優先の動きが起きてしまい、日本は後回しになってしまった。ここは前提として残念な部分です。

次ページワクチンが行き渡るとどうなる?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事