“日本のジャッキー・チェン"はこう作った ジャッキー・チェンのアフレコ30年超、石丸博也が語る

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とにかく日本語を大事にしなくちゃ駄目

――けっこう歩きますね。

仕事が新橋だから、終わったら、今日は品川回りで帰ろうかなとか、今日は暑いから赤坂見附までにしようかなといった具合に考えるんだよね。

――ジャッキーとの思い出はありますか?

これはいつも言っていることなんだけど、ジャッキーがスタジオに来たときに言ったんだよ。「ジャッキー、あのアクションは短くならないですかね?」って。ジャッキーはニヤッと笑ってたよ。ただそれだけ。それでも次の作品も全然短くならないんだから(笑)。相変わらず長い。まあ、それはひとつの思い出だね。

――でも反対にジャッキーは、「もし石丸さんが香港映画に出ることがあったら僕が吹き替えをするよ」と言ったことがあったらしいですよ。

そんなこと言ってたの? 俺さ、ジャッキーとはそういうやりとりをしたことがないからさ。今どきはメールとかでやりとりをするんだろうけどさ。俺を使ってくれって言っておけばよかったな。内緒でアクション勉強してさ、あっちで披露したりしてね。

――ジャッキー同士の共演は見たいですね。ところで近年は吹き替え版がはやっていますが、石丸さんが思う吹き替えの魅力は?

はやっているんじゃなくて、そうしないといけなんだよ。とにかく日本語を大事にしなくちゃ駄目。制作費が安いから字幕でいこうとかさ、日本語版にすると高くなるからやめようとかさ。そういうことを考えがちだけど、そういうことでなくて、なぜ日本語版をやるかということを考えるべきだよね。制作費が高くなってもしょうがないと思うんだよね。外国なんかほとんど吹き替え版でしょ。あれだったら国がカネを出せばいいんじゃない? それくらいやってくれたっていいと思うけどな。

――吹き替えは文化ですからね。本当に僕たちは石丸さんのジャッキーを見て育ったわけですから。

もうわかったから(笑)。これからも頑張りますよ。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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