角川×東映で作る新機軸のヒーロー 映画界の「W伸一郎」が『キカイダー』を語る

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 ロボット工学の権威・光明寺博士によって、体内に不完全な「良心回路」を埋め込まれて誕生したアンドロイドのジローは、その「良心回路」の存在ゆえに、正義と悪という、相反する感情に苦悩することになる――。1972年に放送された「人造人間キカイダー」は、人間とアンドロイドのせつないラブロマンスや、宿命のライバル・ハカイダーの存在などが幅広い層に受け入れられ、高い人気を博した。
 そんな石ノ森ヒーローの最高傑作とも言われる特撮アクションが、最新の造型&VFX技術で復活。原作やテレビシリーズが持っていた魅力をベースにしながらも、今日的なテーマ性を備えた物語として再構築した完全新作『キカイダー REBOOT』が5月24日より公開中だ。
 本作の企画を立ち上げたのは、大のアニメ・特撮好きとしても知られる株式会社KADOKAWAの代表取締役専務・井上伸一郎。キカイダーに深い思い入れを持つ彼は、東映株式会社の取締役企画製作部長・白倉伸一郎の協力を得て、念願の本プロジェクトを完成させた。
 日本の映画界を牽引する「ダブル伸一郎」がタッグを組んだ本作。そんな2人に「現代のヒーロー像」「東映とKADOKAWAが組む意義」などについて、2回に分けて聞いた。
 (後編は後日配信予定)

――今回のプロジェクトは、もともと飲み仲間だったというお2人のつながりから生まれたものだと聞いていますが、とはいえ東映とKADOKAWAが組むメリットは非常に大きいと思います。お互いの魅力をどう見ていますか?

井上:東映さんが持つ特撮やアニメのビジネスモデルは本当に完成されたもので、きちんと収益のパターンができている。グッズなどのマーチャンダイジングもそうですし、ヒーローショーなどのイベントもきちんと行っている。なおかつそれが毎年のように拡大しているところがすばらしい。

それからこれは白倉さんの功績のひとつだと思うのですが、ライダー、戦隊もの、プリキュアといったヒーロー、ヒロインものの年間の映画上映ラインをきちんと作り上げていかれたことも非常にすばらしい。まずは安定性を確保したうえで、年間にひとつでも2つでもより多くのヒットが出ればいいと。これはビジネスの先達として大いに勉強になる点です。

今回、『キカイダー REBOOT』を一緒にやらせていただくことになって、そういうノウハウの一片でも勉強できないかと思っていました。実際に組んでみて、非常に効率的な撮影をされていることがわかりましたし、つねに作品が作られ続けていくことで、ノウハウも蓄積もされている。そのための研究も盛んに行われています。それによって普通の現場よりも非常に速いペースで作品が出来上がっていく。そういったことを目の当たりして、参考になることが多かったですね。

一方、KADOKAWAとしては、いわゆる映像ソフトを、ある種の価値観をプラスした魅力的な商品としてユーザーにお届けするノウハウがありますし、そういった点は長所だと思います。ですから、この2社が組んでやっていけば、お互いのいいところが伸ばせる企画が作れるのではないかと思っています。

(C) 石森プロ・東映 (C) 2014「キカイダー」製作委員会
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