KADOKAWAさんという新しいプレーヤーを迎え入れることによって、従来型の仮面ライダーやスーパー戦隊とは同じものにはならないだろうと思いました。視点も異なるし、物事の進め方も異なるため、東映としてもいいとこ取りができる。つまり、仮面ライダーとか戦隊とか築き上げたよきところは残して、ここはキカイダーには合わないねという部分は排除することができる。そういった新風を吹かせていただくことが可能になったことがいちばん大きいですね。
もちろんKADOKAWAさんの強みを生かしたメディアミックスとしての機動力も弊社にはない魅力ですし、両者の強みをいいとこ取りができたらいいのではないかと思っています。
映画としての”ヒーローもの”を再構築
――スタイリッシュな演出が特色の、PV出身の下山天監督の起用というのも面白いアイデアだと思いました。テレビではなく、映画ならではの展開にしようと思った意図は?
白倉:テレビはどうしても、視覚情報よりも聴覚情報から入るところがあります。映画でもテレビでも、あるいは配信も含めたビデオでも、映像は皆、同じように見えますよね。でも、途中から見ることを前提とするメディアってテレビだけなのです。もちろん正確に言えば、ニコ生とかほかにもあるかもしれませんが、基本的な映像メディアで頭から見ないことを前提としているものはテレビだけです。画面を見てないということと、頭から見ていないことを前提としています。
――テレビは、簡単に内容がわかるよう作られていると言いますからね。
白倉:音から入ってくる作り方というのは、ヒーローものでも同じです。だから変身のときもライダーベルトの音がやたらとうるさいんですよ。それはどうしても音で表現しなきゃいけないから。テレビの方向を向いていない人にも、「どうやら今、変身しているらしい」ということがわかるようにしなければいけない。そこからこちらに振り向いていただいて、画面に注目してもらう。
それとテレビの作品は、セリフをずっとしゃべっていなければいけません。それこそ40年以上前から、「変身!」「ライダーキック!」といったアクションをセリフで表現してきましたからね。それを積み重ねてきたからこそ、仮面ライダーやスーパー戦隊の映画でもテレビのやり方を踏襲してしまう。それはおそらくそれがヒーローもののノウハウであると頭から信じ込んでしまっているからなのですね。だから、映画用の企画であるにもかかわらず、テレビっぽくなってしまうのだと思います。
でも今回は新たにKADOKAWAさんと組むことで、映画としてのヒーローものの作り方を1から再構築しようと思った。それが映画にしようと思った理由のひとつです。
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