――本作の原作者である柴田トヨさんは、2013年1月に天寿を全うされましたが、トヨさんにお会いする機会はあったのですか?
実は映画化が決まった3日後に亡くなられてしまい、お会いすることはできなかったのです。僕はその頃、『神様のカルテ2』を撮影していて、その撮影が終わったらお会いしようと思っていたのですが。でも映画化についてはとても喜んでくださっていたと聞きました。トヨさんのお話はプロデューサーや、(息子の)健一さんから伺いました。
――武田鉄矢さんが演じた健一さんはとてもダメな人に描かれていましたが。
あれはデフォルメしたわけじゃなく、本人もとってもひどいんですよ(笑)。「本当に自分はダメな息子だったから、自分をよく描かないで」というのが、僕へのリクエストでした。「どんなふうに悪かったんですか?」と話を聞くと、一つひとつのエピソードが本当にひどくて。たとえば上司が亡くなったとうそをついて、母親に香典のおカネを借りに行こうとしたときも、同じ人の名前を何度も使ってしまったためにバレてしまった、というシーンがありましたが、あれは本当にあったことだそうです。健一さんは見つかっても反省するどころか、「じゃいいよ!」と言って、怒って帰ってしまったという。
――そんな健一さんを武田さんが好演していました。先生の役などを演じるときには見られない、非常にダメな感じがすばらしかったです。
ご本人はどう思われているかわかりませんが、ああいうダメな役をやらせたら、とても輝きますよね(笑)。
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