「職人を使いこなす」リーダーになるには

『くじけないで』深川栄洋監督に学ぶ処世術

 2013年1月に101歳の生涯を閉じた詩人の柴田トヨさんは、98歳のときに処女詩集『くじけないで』を刊行。みずみずしく温かな言葉で多くの人を勇気づけた。うっかりすると見落としてしまいそうな日々の小さな幸せ。自らの老いを見つめるユーモラスな視線、懐かしい少女時代への追憶。飾らない言葉で紡がれた詩は生きる喜びに満ち、今では海外7カ国で翻訳・出版されて世界中で読まれている。そんな彼女の半生を描いた感動作『くじけないで』のDVD(税別:3800円)が、5月2日より発売された。
 夫に先立たれて独り暮らしをしていた主人公が、あるとき息子に勧められて、詩を書き始める。何でもない日常を一つひとつ言葉に置き換えていく中で、やがて彼女は記憶を手繰りよせ、自らの人生を振り返っていく──。映画『くじけないで』では母と子のきずなを軸に、明治から平成までを見つめたトヨさんの半生が、温かく繊細なタッチでつづられる。
 今回は、本作のメガホンをとった深川栄洋監督に、本作の撮影現場の裏側、ユニークな深川流交渉術などについて聞いた。

 ――本作の原作者である柴田トヨさんは、2013年1月に天寿を全うされましたが、トヨさんにお会いする機会はあったのですか?

実は映画化が決まった3日後に亡くなられてしまい、お会いすることはできなかったのです。僕はその頃、『神様のカルテ2』を撮影していて、その撮影が終わったらお会いしようと思っていたのですが。でも映画化についてはとても喜んでくださっていたと聞きました。トヨさんのお話はプロデューサーや、(息子の)健一さんから伺いました。

――武田鉄矢さんが演じた健一さんはとてもダメな人に描かれていましたが。

あれはデフォルメしたわけじゃなく、本人もとってもひどいんですよ(笑)。「本当に自分はダメな息子だったから、自分をよく描かないで」というのが、僕へのリクエストでした。「どんなふうに悪かったんですか?」と話を聞くと、一つひとつのエピソードが本当にひどくて。たとえば上司が亡くなったとうそをついて、母親に香典のおカネを借りに行こうとしたときも、同じ人の名前を何度も使ってしまったためにバレてしまった、というシーンがありましたが、あれは本当にあったことだそうです。健一さんは見つかっても反省するどころか、「じゃいいよ!」と言って、怒って帰ってしまったという。

――そんな健一さんを武田さんが好演していました。先生の役などを演じるときには見られない、非常にダメな感じがすばらしかったです。

ご本人はどう思われているかわかりませんが、ああいうダメな役をやらせたら、とても輝きますよね(笑)。

(C)2013「くじけないで」製作委員会
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