「仕事は楽しんでいい」をトリックで学んだ

『トリック』名プロデューサーが語る(下)

 自称「超売れっ子天才美人マジシャン」こと山田奈緒子(仲間由紀恵)と、だまされやすい天才物理学者の上田次郎(阿部寛)という凸凹コンビが不可思議な現象に潜む“トリック”を暴く――。2000年に深夜ドラマでスタートした「トリック」が、1月11日公開の『トリック劇場版 ラストステージ』でいよいよ完結することになった。
 14年間の集大成とも言うべき本作のキャッチコピーは「泣けるトリック」。本作の舞台は海外の秘境。レアアース採掘のために村上商事の加賀美(東山紀之)から協力を依頼された上田だったが、その地域に住む部族が信奉する呪術師(水原希子)が「聖なる土地をほかの者に渡すわけにはいかない」と主張しているために、彼らは立ち退きに応じようとしない。そこで上田は奈緒子(仲間由紀恵)の力を借りて、未来を予知し人を呪い殺すという呪術師のトリックを見破るために村を目指す――。
 プロデューサーとして『トリック』シリーズのすべてにかかわったのが、東宝で映画企画部部長を務める山内章弘氏だ。そこで前回に続き、山内氏に『トリック』完結編の見どころ、さらに映画企画部部長として企画をチョイスする秘訣などについて聞いた。

インタビューの前編 苛酷なロケから始まった「トリック」の14年 はこちらから

――サラリーマン目線での『トリック劇場版 ラストステージ』の見どころはありますか?

今回は東山紀之さんが演じる加賀美慎一が、ザッツ・サラリーマンという役どころ。彼は商社に勤めているのですが、未開の地で資源開発をするために現地の人々を立ち退かせなくてはいけないという使命を持っている。家族に対する愛情や仕事に対する思いなど、サラリーマンなら感情移入できるポイントは意外にもたくさんあります。サラリーマンの方には、加賀美目線で見ていただくと、また違った視点で楽しんでもらえるかもしれません。

――グローバル社会の中で、企業戦士が家族を置いて戦うということですね。

そうです。まぁ、そういう場で奈緒子や上田と出会うことはないでしょうけど(笑)。

――あらためて14年間を振り返り、山内さんの14年間はどうでしたか?

私はこの仕事を始めて20年強ですが、その大半を『トリック』と付き合っていることになります。考えてみれば、どういうものがいいのか悪いのか、面白いのか面白くないのかといった、仕事に対する基本的な取り組み方、考え方の根っこになっているような気がしますね。まあ、あまり自分で自分の作品を持ち上げるのもどうかと思いますので、それくらいにしておきます(笑)。

――ちなみに山内さんが『トリック』でかかわらなかった作品はあるのですか?

 いえ、すべての作品にかかわっています。

――するとスピンオフの「警部補 矢部謙三」も?

そうですね。あれは念願の企画でした。矢部を主人公にドラマをやったら面白いよね、と皆でよく話していたのですが、それが最高の形で実現したということですね。

©2014「トリック劇場版 ラストステージ」製作委員会
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