――宣伝では「今回が最後」と大々的にうたっていますが、一方で「あえて言わなくてもいいじゃないか」「続きをやりたくなったらどうするのか」といった意見もあります。
それはいろいろな人に言われました。確かに今までも何回か「なんちゃってラスト」みたいなことはやってきたのです。ただ、それはあくまでも「なんちゃってラスト」なんですよ。最初から勢い込んで「今回終わりにしよう」と打ち合わせを始めたわけではないのですが、あえて言えば(笑)奈緒子の出生の秘密といいますか、本来、この作品でやろうとしていた「この世に霊能力というものはあるのか」「人はいったい霊能力をどうとらえているのか」といった本筋を、もう一度見直してみたかったのです。最初は毎週のように「本物の霊能力者はいるのです」というフレーズが出てきますが、シーズン2あたりからそれはあまり出なくなりましたから(笑)。
――確かに時を経るにしたがって、そういったテーマは薄れていったように思います。
『トリック』にはいろいろな要素がありますが、コメディ要素が際立ってしまった部分もあります。われわれも、そしてきっと皆さんもモヤモヤしていたドラマのテーマ性の部分に、そろそろ決着をつけてもいいのではないかと思ったのです。
僕らも誰かに肩をたたかれたわけでもないですからね。最後通告を受けたわけでもない(笑)。でも、どこかで作り手の面々も気になっていたというか、気になっていた部分に対する回答は、提示するべきなんじゃないかといった思いもありました。今回は気持ちがそちらに振れたということでしょう。ただ、キャストやスタッフもみんな信じていないみたいですけどね(笑)。
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