「仕事は楽しんでいい」をトリックで学んだ 『トリック』名プロデューサーが語る(下)

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刑事なのに事件を解決しない矢部というキャラクター

――山内さんにとっての矢部の魅力とは?

欲望に逆らわないことですね(笑)。希有なキャラクターだと思うんですよ。刑事なのに事件を解決しないのですから(笑)。『ピンクパンサー』のクルーゾー警部なんですよね。実際は奈緒子が事件を解決しているのに、そこになぜか矢部がいて、その犯人をちゃっかり捕まえたりしている。実は警視庁でいちばん手柄を立てているのは矢部なんじゃないか(笑)。そんな矢部が警察の中ではどんな顔を見せているんだろう。そんな空想がドラマになっています。

――「警部補 矢部謙三」は『トリック』とは違った楽しみがあります。

扱う事件としては、あまり『トリック』は引きずらないようにしています。だから「警部補 矢部謙三」のシリーズでは「因習に閉ざされた村には行かない」と決めました。

 ――それと『トリック』といえば、「なんどめだナウシカ」など、独特のフレーズが書かれた張り紙や、習字などが毎回評判を集めました。

あのときはちょうど裏番組に『風の谷のナウシカ』が来ることがわかっていたので。『トリック』は本当にギリギリまで撮影しているので、そういうことがわかってしまうんですね(笑)。

――あの文言を考えているのはどなたなのでしょうか?

あの文言を考えているのは堤監督です。書道教室に関しては、実際の子どもたちが書いていたりしますけどね。村にある看板などは美術監督の稲垣尚夫さんが手掛けています。

――今回は今まで以上に張り紙や看板が張ってあったと思うのですが、それはやはり最後だからということなのでしょうか?

それはどうかわからないのですが、確かにいつもより多かったと思いますね。

――面白いものを生み出すコツというのはあるのですか?

それは僕が知りたいです(笑)。ただ、意識しているのは、「視点を変える」ということですかね。チャップリンの言葉で「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで観ると喜劇だ」というものがあるのですが、要は視点を変えればドラマは変わるということですよね。

――本人にとっては深刻なことでも、はたから見ると喜劇に感じるということですね。

そうですね。視点をどう置くか。それが面白くなるかならないかのひとつのポイントだと思います。

©2014「トリック劇場版 ラストステージ」製作委員会
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