角川×東映で作る新機軸のヒーロー 映画界の「W伸一郎」が『キカイダー』を語る

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東映の長所は短所でもある

――『キカイダー REBOOT』で言うと、映画配給が東映、DVDなどのパッケージ販売をKADOKAWAが担当するという住み分けでしょうか?

井上:そうですね。わたしがKADOKAWAの実写映画担当になって、ちょうど3年目となります。過去、角川映画では、実写映画の収支が厳しかった時期が数年間ありました。自分が実写映画を受け持つにあたり、黒字にするためのノウハウとして参考にしたのは東映さんです。もちろんうちは、戦隊ものやライダーといったシリーズ作品は持っていないのですが、それならば自分たちには何ができるのかと考えました。それがホラー映画や、音楽映画などのジャンルムービーだったのかもしれません。

そういった劇場作品の路線をうまく作って、一定の評価と、観客に来ていただくようなシステムができないかと思いました。もちろん東映さんに比べて規模は小さいものの、ここ2年は実写映画部門も黒字になりまして、なんとか立て直しができたかなと思っています。そういった時期に『キカイダー REBOOT』をやらせてもらえることは、自分の中でも奮い立つものがあります。これがうまくいけば、また一緒に組ませていただきたい。それがキカイダーの続編になるのかはわかりませんが、また東映さんと一緒に作品を開発できたらうれしいなと思っています。

白倉:今、井上さんがお話になった東映の長所という点は、まるっきり短所にもなるわけです。おかげさまで特撮の仮面ライダーやスーパー戦隊、アニメのプリキュアシリーズはここ10年、非常に好評をいただいていますが、逆に言えば10年間やり方が変わってないとも言えます。

(C) 石森プロ・東映 (C) 2014「キカイダー」製作委員会

――とはいえ、キープし続けることも大変なのではないでしょうか?

白倉:仮面ライダーやスーパー戦隊といった既存のものをキープし続けることはできていると思います。そこに関与するプレーヤーも固定化されていますから。10年間やっていると、ツーカーの仲にもなってしまう。井上さんのご指摘のとおり、物事を早く回すフットワークはできてくるのですが、それが、これまでと別のことをやろうとした途端にぎくしゃくし始める。言葉を選ばずに言うなら、「硬直化」と「効率性」の両面が出てしまっている。

決して失敗だったとは言いたくないですが、たとえば『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』というものは、個人的にはちょっと芳しくなかったと思っていて。それは仮面ライダーやスーパー戦隊のやり方をそのまま『宇宙刑事ギャバン』でも踏襲したところがあったからなのです。せっかく仮面ライダー、スーパー戦隊ではない、第3の軸を立ち上げようとしていたのに、ノウハウをまったく変えずにやろうとしてしまったところが、ビジネスとしてはいけなかったのではないか。そう思っていた矢先に、こうした機会を頂戴したわけです。

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