“日本のジャッキー・チェン"はこう作った

ジャッキー・チェンのアフレコ30年超、石丸博也が語る

――そんなことない(笑)。声優さんだって大変な仕事だと思いますよ。

まあ確かにそんなことないし、簡単ではないんだけどさ。それでも、たかがと言いたくなるんだよ。だから俺がジャッキーを広めたとかさ、ジャッキーが俺だなんていうのはとんでもない話だよ。そんなこと言ったらジャッキーがかわいそうだよ。ジャッキーはジャッキーなんだから。俺はただ声を入れているだけだからさ、本当に。

アクションの声は自分で入れていた

――それこそ昔はしょっちゅうテレビでジャッキー映画が放送されていたわけですから、石丸さんの声を聞くのが日常だった気がします。石丸さんの声こそがジャッキーの声であって、逆に本物のジャッキーの声を聞くと違和感がある人も多いと思いますが。

まあ確かに、そういうことはあるかもしれないね。でも、この『ポリス・ストーリー/レジェンド』なんて、絶対に日本語版のほうがいいと思うよ。セリフが多くて、わけがわからなくなるから。字幕を作る人も大変だと思うよ。奥のほうで話している人がいて、そしてその手前では別の人が別のことを話しているんだから。あれはどうやって翻訳するんだろうね。俺のセリフは小さく書いて、奥のセリフは大きく書いたりするのかな(笑)。

――ジャッキーのアクションシーンでは、セリフだけでなく、ジャッキーの息づかいも石丸さんが吹き替えていたそうですが。

そう、ジャッキーのアクションはみんな自分で入れていた。だってMA(マルチオーディオ=音声編集の意味)に音が入っていなかったからね。アメリカ映画なんかだと、そういった音はちゃんと入っているから、やらなくて済むんだけど、でも香港映画なんかはみんな入れていた。しかもこれが長い(笑)。アイヤホイヤと延々と続くんだから。まだ終わらないなぁ、なんて思いながらやっていたよ。『ポリス・ストーリー/レジェンド』はまだそんなに長いほうじゃないけどね。

――ジャッキーといえば、前作の『ライジング・ドラゴン』でアクション大作からの引退を表明していましたが、今回の映画はその影響を感じさせないくらい激しいアクションですね。

アクションをやめたと言っていたのに、すぐこういうのを作っちゃうんだから。アクションは卒業だと言うから、今回、ジャッキーは監督か何かをしていて、ずっと後ろに下がっているのかなと思っていた。それで、ちょっとワンシーンくらい出てきて、という感じになったらいいなと思っていたら、何のことはない。最初から最後までずっと出っぱなしなんだから(笑)。

――ジャッキーといえば、痛がるアクションが画期的だったわけですが、そういったシーンを演じる際にコツはあるんですか?

コツなんて聞かないでよ(笑)。だってやらなかったら怒られるもん。ちゃんとやらなかったら、「お前、それは痛くないのか、もっと痛そうにやれ」と言われるわけだからね。そういえば、『ポリス・ストーリー/レジェンド』も最後のほうにすごいアクションがあるじゃない。今回のアクションは、普通のアクションの息使いと違うんだよね。普通はイヤーとか高めに声を出すだけで済むんだけど、この最後のやつは「グウォー」というね。

――重たい感じというか。

そう。向こうもそうやっているからね。今回のアクションは笑いがなくて、シリアスにやっているよね。やっぱりジャッキーも演技派を目指しているんだろうね。

©2013 Jackie & JJ Productions Limited, Wanda Media Company Limited and Starlit HK International Media Company Limited All rights reserved
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