“日本のジャッキー・チェン"はこう作った ジャッキー・チェンのアフレコ30年超、石丸博也が語る

✎ 1〜 ✎ 58 ✎ 59 ✎ 60 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――石丸さんから見たジャッキーの魅力は?

石丸博也 いしまる ひろや 1941年宮城県生まれ。大学在学中に劇団ひまわりの研究生募集に応募したのをきっかけに芸能界入り。劇団太陽、JKプランニング、青二プロダクションを経て、現在はぷろだくしょんバオバブ所属。1972年の「マジンガーZ」兜甲児役でブレイク後、アニメ、洋画吹き替え、ナレーションなど、数々の作品に参加してきた。近年は「ウルトラマン」シリーズのウルトラマンタロウの声、「それいけ!アンパンマン」の副音声解説なども行っている。そのほか、主な参加作品として「史上最強の弟子 ケンイチ」「銀河英雄伝説」「超獣機神ダンクーガ」「よろしくメカドッグ」「六神合体ゴッドマーズ」など。

魅力もなにも、向こうはスターなんだからさ。本当のスターだよ。たいしたもんだよ。本当にすごい人だと思いますよ。監督をやって、アクションをつけて、俳優もやって。マルチで本当にすごいよ。まねできるものではないですよ。

――石丸さんが好きなジャッキー作品はどれですか?

みんな好きだよ。最初の頃なんて、単純な話が多かったじゃない。親の敵とかさ……。

――師匠の敵を討つとか。

それで立ち回りがあるというね。でも基本的に何でも好きだよ。そういえば、つい1週間くらい前に『ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳』というのを吹き替えでやったんだけど、立ち回りが10分くらいあるんだよ。ジャッキーが18か19歳くらいの役でさ。「それを俺がやらなきゃいけないの! 勘弁してくれよ」と言ったんだよ(笑)。まあ、結局はやったけどね。

――やはりみんな石丸さんの吹き替えで見たいんですよ。

見たいって言ったって、俺はやだよ(笑)。18、19の役をまたやるなんて照れちゃうよ。

 ――アフレコの手順というのはどういう感じなんですか? 

最近だと、アフレコの1週間くらい前にDVDと台本をもらえるんだけど、昔は前日にリハーサルをやったんだね。それから次の日にテスト、ラステス、本番と、3回やったんだよ。立ち回りの息使いなんかもね。

――ハッ、ハッ、というやつですね。

画像を拡大
当時のアフレコ風景

そうだよ。それを3回やらされるわけだからさ。こっちはたまったものじゃないよ。さすがに今は、それは無理だから、ぶっつけ本番。一発ですぐに本番をやらせてもらっている。アクションがあまりにも多いようだったら、まずはセリフを録って、それが終わった後でアクションを吹き替える。そうしたら、声も潰れてもいいからね。でも昔はそうじゃなかった。昔はセリフとアクションを同時にやっていたんだよ。

ジャッキーはまだまだ現役だよ

――映画の流れに沿って、頭から終わりまでずっと続けるということですか?

そう。1ロール、2ロール、3ロールという順番でね。もう汗もびちょびちょだよ。これはいつも言うことなんだけど、スタジオには手ぬぐいを持って行くんだよ。冬なんて風邪をひいちゃうよね、寒くて。本当によくやったなぁ。この年まで。まだやってるよ。いい加減やめようかなと、この年になったら思っているんだけどね。年をとると、仕事をやりたくないなとか、早く終わらないかなとか、そういうことばかり考えるようになるよ。

――それでもジャッキーはまだまだ続けそうですね。

彼はやるね。

――また新作の企画もあるようですしね。

あ、そうなの? じゃ俺も長生きしなきゃいけないな(笑)。

――本当にそうですよ。ジャッキーの存在が刺激になっているというのはありますか?

ないよ(笑)。あっちはスターだしさ。たいしたもんだなとは思うけどね。

――でも小さい頃にテレビを見ていた世代からしたら、石丸さんだってスターですよ。

何言ってんの! 今の日本はおかしいよ。なんでもかんでもスターにしちゃうんだから。大食いスターとかさ。なんでもいいんだよ。俺たちが育った頃のスターというのとは、全然、違う。今はちょっとでも売れればみんなスターじゃない。離婚して、子どもがたくさんいる人だってスターでしょ。まあ、どうでもいいけどね。

――体力作りはされているんですか?

前は野球をやっていたけど、今は歩くだけだね。歩くのも2時間くらい歩くよ。仕事場所が新橋のときは、そこから渋谷や、青山1丁目、品川なんかまで歩いたりするよ。

次ページ吹き替え版ならではの魅力とは
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事