――石丸さんから見たジャッキーの魅力は?
魅力もなにも、向こうはスターなんだからさ。本当のスターだよ。たいしたもんだよ。本当にすごい人だと思いますよ。監督をやって、アクションをつけて、俳優もやって。マルチで本当にすごいよ。まねできるものではないですよ。
――石丸さんが好きなジャッキー作品はどれですか?
みんな好きだよ。最初の頃なんて、単純な話が多かったじゃない。親の敵とかさ……。
――師匠の敵を討つとか。
それで立ち回りがあるというね。でも基本的に何でも好きだよ。そういえば、つい1週間くらい前に『ジャッキー・チェンの必殺鉄指拳』というのを吹き替えでやったんだけど、立ち回りが10分くらいあるんだよ。ジャッキーが18か19歳くらいの役でさ。「それを俺がやらなきゃいけないの! 勘弁してくれよ」と言ったんだよ(笑)。まあ、結局はやったけどね。
――やはりみんな石丸さんの吹き替えで見たいんですよ。
見たいって言ったって、俺はやだよ(笑)。18、19の役をまたやるなんて照れちゃうよ。
――アフレコの手順というのはどういう感じなんですか?
最近だと、アフレコの1週間くらい前にDVDと台本をもらえるんだけど、昔は前日にリハーサルをやったんだね。それから次の日にテスト、ラステス、本番と、3回やったんだよ。立ち回りの息使いなんかもね。
――ハッ、ハッ、というやつですね。
そうだよ。それを3回やらされるわけだからさ。こっちはたまったものじゃないよ。さすがに今は、それは無理だから、ぶっつけ本番。一発ですぐに本番をやらせてもらっている。アクションがあまりにも多いようだったら、まずはセリフを録って、それが終わった後でアクションを吹き替える。そうしたら、声も潰れてもいいからね。でも昔はそうじゃなかった。昔はセリフとアクションを同時にやっていたんだよ。
ジャッキーはまだまだ現役だよ
――映画の流れに沿って、頭から終わりまでずっと続けるということですか?
そう。1ロール、2ロール、3ロールという順番でね。もう汗もびちょびちょだよ。これはいつも言うことなんだけど、スタジオには手ぬぐいを持って行くんだよ。冬なんて風邪をひいちゃうよね、寒くて。本当によくやったなぁ。この年まで。まだやってるよ。いい加減やめようかなと、この年になったら思っているんだけどね。年をとると、仕事をやりたくないなとか、早く終わらないかなとか、そういうことばかり考えるようになるよ。
――それでもジャッキーはまだまだ続けそうですね。
彼はやるね。
――また新作の企画もあるようですしね。
あ、そうなの? じゃ俺も長生きしなきゃいけないな(笑)。
――本当にそうですよ。ジャッキーの存在が刺激になっているというのはありますか?
ないよ(笑)。あっちはスターだしさ。たいしたもんだなとは思うけどね。
――でも小さい頃にテレビを見ていた世代からしたら、石丸さんだってスターですよ。
何言ってんの! 今の日本はおかしいよ。なんでもかんでもスターにしちゃうんだから。大食いスターとかさ。なんでもいいんだよ。俺たちが育った頃のスターというのとは、全然、違う。今はちょっとでも売れればみんなスターじゃない。離婚して、子どもがたくさんいる人だってスターでしょ。まあ、どうでもいいけどね。
――体力作りはされているんですか?
前は野球をやっていたけど、今は歩くだけだね。歩くのも2時間くらい歩くよ。仕事場所が新橋のときは、そこから渋谷や、青山1丁目、品川なんかまで歩いたりするよ。
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