そのほかにも、ドローンを使ってクラブハウスから飲料水のペットボトルを運んだり、コース状況を上空から点検したりする実験が行われた。
またグリーン近くに埋め込んだ土壌センサーで管理に必要なデータを収集する、コース内に4Kカメラを設置して害虫などを監視する、自動芝刈り機などでゴルフ場を管理するといった、経営をサポートするソリューションも展示されていた。
この日はNTTドコモの移動基地局がコースの駐車場に止まっており、コース内に5Gの環境を作っていた。上記の実験の映像は5Gで送信され、クラブハウス内のパソコンやスクリーンで見られた。
ただ、ソリューションを見学した限りでは、「で、どうするの?」というのが素朴な疑問として浮かんだ。すでに、携帯などでスイングをビデオ撮影して自分でチェックする方法は定着しているし、練習場やレッスンに行けばスイングデータを測定してくれる機器もある。
5Gになることで、データ量が大きな動画などをSNSにアップする、見るのが簡単になるなど、いいことはたくさんあるだろう。その「送る・見る」データとして「こういうことができます・作れます」ということなのだが、問題は「何を作って送るか」だ。
また、使用する機器、カメラなどは市販品を多く使用していたが、それを分析、加工する機器は価格が分からないものも含めて高額そうだった。1つのコースでそれだけの投資ができるか、どれだけ設備費用が抑えられるか、費用対効果があるのか、なども課題だろう。
できることを示してアイデアを生み出すきっかけに
「課題解決型とエンターテインメント系の2つのコンセプトで展示した。未熟なところはあるでしょう。アプリケーションも含めて、相談していかないといけない。ゴルフ場の課題が5Gで解決できるところもある。テレビ中継するときはコストをかけてケーブルを引くが、5Gで転送すればいらない。実用化は身近なところにあると思う」
ミライトの中山社長はこう話した。つまり、できること(送るもの)をリアルで示すことで、それに対して5Gを活用するイメージ、アイデアを生み出すきっかけにしたいということ。「ゴルフ場内でできる(作れる)こと」と「5Gを活用してビジネスにすること」の結び付け方、生かし方はまだ見えていないというのが正直なところだ。
筆者が思いついたのは、とかく優勝争いだけになるトーナメント中継で高画質ハンディーカメラをたくさん使っていろんな選手を映す「○○選手カメラ」で、好きな選手の映像を選択できる、コンペで全組中継をカートで見られる、会計のときにその日の自分のプレーのDVDができている。日本全国のゴルフ場をつないで、大コンペを実施する、など(ちょっと発想が貧困で、4Gの域を出ていないか……)。
新型コロナウイルスの第3波の感染拡大で、菅首相は1月7日、1都3県を対象に緊急事態宣言を発出した。遅きに失している感はあるが、不要不急の外出自粛や飲食店などへの営業時間の短縮(午後8時まで)などを要請する。自衛のために「巣ごもり」に戻るのは大事でもある。
そこで時間ができたというビジネスパーソンの方がいれば、企画力や発想力を高めるトレーニングとして、ゴルフビジネスに5Gを使う有効な方法を考えていただけないだろうか。ゴルフでできることは、ほかのスポーツやビジネスにも応用が利くはずだし、何よりゴルフ界にとってありがたい。
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