サッカー日本代表は「たらこスパゲッティ」だ ザッケローニ監督に学ぶ、日本が世界で戦う秘訣

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日本にはバランスを意味する塩梅(あんばい)という言葉があるという質問に対して、「私は塩加減がちょうどいい人間でありたいと願っている。徐々に塩を入れて味見をしっかりしているつもりだ」とは、ザックの言葉である。

だからこそ、ザックはイタリアのトップチームを率いていたころとはシステムも変え、日本の素材を活かしながら新しいチームを創りあげてきた。前々監督のジーコとも、岡田前監督の頃とも、ひと味もふた味も違う、別のチームに飛躍を遂げつつある。

ザックが認めた「日本のすばらしさ」とは?

では、日本の良さとは何なのだろう。実はサッカーに限らない普遍的な要素がある。ザックが言う、日本人の最大の魅力の一つは、「一致団結」、日本的に言えば「和」の力である。

イタリアでは「一致団結すれば、強くなる」ということを、何度説明しても、浸透しない。一方で、日本人はチームのためには、自己犠牲をも厭わない。本田圭佑選手や長友佑都選手がよく語るように、個の力が高まらないことにはプロの世界では話にならないが、その個の力を組み合わせることで、何倍の力が生み出せるのがチームなのである。ここまで「和というチーム意識」を持てる国民性というのは、スポーツに限らず、われわれ日本人が世界で誇りを持つべき点だ。

もう1つの良さは、「謙虚さと向上心」だという。ザック曰く、南米やヨーロッパでは、「自分たちのサッカーこそが世界で一番」であり、「他から学ぶことはない」と考えがちなのだという。だからこそ、パス重視、個人技重視、守備重視などそれぞれの国のスタイルを決して変えようとはしない。しかし、日本は違う。どれだけレベルが上がっても、「まだまだ、学ぶべきことがある」と謙虚に改善し、向上し続けることができる。

これは何もサッカーに限ったことではない。ビジネスでも、和と向上心が日本人や日本企業が世界と対等に戦う非常に大きな武器になる。ただし、和と向上心さえあれば、勝てるということではない。たらことスパゲッティを混ぜ合わせるだけでは本場のフレンチやイタリアンには勝てない。あわせて大切なのは、「背骨を大事にすること」だ。

ザックは、ゴールキーパー(GK)からセンターフォワードの中央ラインが大切だと考える。だからこそ、この基本的な「背骨のライン」と、軸になる選手は就任後、これまで変えずに戦ってきた。招集メンバーをスイッチするのもサイドや流れを抱えられる選手に偏っている。「新しい価値」は大事だが、「自分の店としてのポリシー」が何もなければ、他の老舗店の料理には勝てない。「核となる信念、大事にする軸はブレてはいけない」ということだ。

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