日本代表は「ベスト8以上」を達成できるか

福西崇史氏が語る、ブラジルW杯の展望

日本代表初戦のコートジボワール戦が6月15日に迫る、ブラジルW杯。日本代表が「ベスト8以上」に進むために必要なことは何か。サッカー解説者の福西崇史氏が勝利のポイントを探る。
日本代表のベスト8進出のカギを握る攻撃陣。左から、香川真司、柿谷曜一朗、大久保嘉人、大迫勇也(写真:アフロスポーツ)

ワントップに誰を起用すべきか

サッカー界の頂点を決めるワールドカップの開幕まで、あとわずか。僕は今、米国フロリダ州タンパで日本代表の大会直前キャンプを取材しています。日本代表はここで、コスタリカ、ザンビアと強化試合を行ってから、いよいよブラジルへと出発します。

さて、5大会連続5回目となるW杯で、日本はどのような結果を残すでしょうか。僕なりの意見を織り交ぜつつ、大会を展望します。

日本が組み込まれたのは、コートジボワール、ギリシャ、コロンビアのグループD。この組み合わせについて、皆さんはどのような印象を持っていますか? 僕の印象は、「よくも悪くもないグループ」。決勝トーナメント進出の可能性については、客観的に見て「五分五分」と考えています。

指揮官のアルベルト・ザッケローニは「日本らしいサッカー」、つまり守備的なリアクションスタイルではなく、ボールを主体的に動かしながら攻撃するスタイルを貫くと明言しました。とはいえ、タイプが異なる3チームに対しては、それぞれに合わせて細かく戦術を設定し直す必要があります。それがうまくハマるかどうかが、グループリーグを突破するための大きなポイントとなることは、言うまでもありません。

「対戦相手のスタイルに応じた戦術」という意味でひとつのポイントとなるのが、現時点で未確定と言っていい1トップの起用法にある気がします。大久保嘉人の“サプライズ招集”によって、このポジションのレギュラー争いは一気に激しさを増し、戦術としての幅が大きく広がりました。

日本は本田圭佑、香川真司の“2大エース”を筆頭に、岡崎慎司や清武弘嗣、齋藤学らが名を連ねる2列目にタレントを抱えています。彼らの能力を最大限に引き出すため、そしてフィニッシャーという大役を託されるという意味においても、「1トップに誰を起用するか」は注目すべき争点となるはずです。

第1戦の相手、コートジボワールの身体能力の高さはよく知られているところです。普通の感覚なら「ここにボールを置けば取られない」と思うところまで足が伸びてくる。あるいは、「このタイミングでジャンプすれば絶対に勝てる」と思える空中戦で予想をはるかに超えるジャンプをする。つまり、1対1の局面で相手に勝ることは簡単ではありません。だからこそ、日本は組織の力で「個の能力」に対抗しなければなりません。

コートジボワールの組織は、日本と比較して「はるかにルーズ」と言えるでしょう。日本人は自分の持ち場ではないエリアでも積極的にカバーするサポート精神を持っていますが、特にアフリカの選手たちには「自分の持ち場を離れてサポートする」という考え方が浸透していません。

したがって有効と考えられるのは、相手守備陣の“混乱”を招く攻撃を仕掛けること。1トップが左右両サイドのスペースに走り込んでポストプレーを繰り返す、空いたスペースに2列目の選手が飛び込むという変化に富んだ攻撃ができれば、必ず、コートジボワールの守備網に穴を開けられるはずです。

そうした攻撃を実現するために最適な人材と言えるのが、大迫勇也ではないでしょうか。安定したポストプレーと鋭い反転からのシュートを持ち味とする彼の“駆け引き”によって、相手を揺さぶることができれば、2列目の飛び出しと攻撃の変化を促すことができるはずです。

ドイツ・ブンデスリーガでプレーしたことで、世界水準のフィジカルコンタクトに慣れていることも大迫の魅力です。細かくポジショニングを変えながら、「パスを受けてはシンプルにさばく」というプレーを繰り返し、相手との駆け引きの中で、時には自らシュートを狙う。そうしたプレースタイルが“ジャブ”となって、組織力に弱点を抱えるコートジボワールに対してジワジワと効いていく気がします。

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