日本代表は「ベスト8以上」を達成できるか 福西崇史氏が語る、ブラジルW杯の展望
日本はこれまで、4度のW杯を経験しました。
1998年フランス大会は、出場することを目標とした大会。2002年日韓大会は、ホスト国としてのノルマである決勝トーナメント進出を目指した大会。2006年ドイツ大会は「個の能力」を発揮するためのチーム作りをして世界の壁に跳ね返され、その反省を踏まえて、2010年南アフリカ大会は「組織力」で決勝トーナメント進出を果たしました。
そうしたバックグラウンドから、今大会に臨む日本代表は「個の能力」と「組織力」を融合させたチーム作りで“世界水準”への到達を目指し、過去4大会で最高の結果を狙っています。
僕の著書である『こう観ればサッカーは0-0でも面白い』(PHP新書)に詳しく書かせていただきましたが、世界に通用する「個の力」を備え、それを「組織力」に落とし込む形で最大限に発揮することが、現代サッカーで結果を残すための必要条件。世界で勝つための方法を模索し続けてきたからこそ、日本は個と組織を融合させたチームを完成させ、戦術的かつしたたかに戦わなければなりません。
キーマンは遠藤
日本は今や、「運がよければ16強」を目標とするチャレンジャーではありません。したがって、最も理想的な展開と言えるのは、最初の2試合で決勝トーナメント進出を決めてしまうこと。コートジボワールとの初戦、ギリシャとの第2戦に勝って勝ち点「6」を獲得し、決勝トーナメント進出を決める。そして、第3戦のコロンビア戦は主力を温存して体力を回復させる。これは優勝候補に挙げられる強豪国が「理想」とする非常にハードルの高い目標ですが、日本が過去最高のベスト8以上、さらに選手たちが公言している「優勝」を目指すなら、何としても実現したい現実的な目標と言えるでしょう。
僕自身の経験から考えても、W杯でベスト8以上を狙うなら、グループリーグでいかに体力を温存し、精神力を充実させて決勝トーナメントを迎えるかが、とても重要です。グループリーグを突破した時点で満身創痍、あるいは達成感に浸っているようでは、この大舞台で勝ち上がることはできません。
4年前、あるいは8年前にこの舞台を経験したことがある選手がいることは、大きな強みと言えるでしょう。そして、僕が「日本のキーマン」と考えるのは、どんな舞台でも同じメンタリティでピッチに立てる遠藤保仁。もっとも、今の日本には日常的に“世界”を体感している海外組をはじめ、経験豊富なベテラン、世界の舞台で活躍することの気概に満ちた若手が数多く存在します。彼らは皆、「勝利」こそ肉体的・精神的なエネルギー源となることを知っています。コートジボワールとの初戦で勝ち点3を手にすることが、今大会を戦ううえで何より重要であることは間違いありません。
さて、われらが日本代表は、王国ブラジルを舞台とするW杯でどのような結果を残すでしょうか。大きな期待感と、何よりW杯という最高の舞台で起こる感動的なドラマに胸を躍らせながら、アメリカ、ブラジルと続く長い取材の旅を“サッカーファミリー”のひとりとして楽しみたいと思います。
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