ザックジャパンの「大きな問題点」 ザック流指導が抱える”爆弾”

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
拡大
縮小
本場イタリア仕込みの指導法で、日本代表を率いてきたアルベルト・ザッケローニ監督。だが、彼の指導法には、大きな問題点がある。(写真:アフロ)

サッカーの指導法を受験勉強にたとえると・・・

ザックジャパンには、ひとつ構造的な問題点がある。普段はあまり目立たないが、対応を間違えると、チームを機能不全に陥れかねない不安要素だ。

それは、アルベルト・ザッケローニ監督の指導の流儀に、大きく関係している。

本題に入る前に、まずは監督の「指導論」について考えたい。サッカーにおける監督の指導法は、しばしば受験勉強になぞらえる。たとえば岡田武史・前代表監督は、直前対策のプロだ。勉強法にこだわらず、そのときのパフォーマンスが最大になるように、あらゆる引き出しから解決策を探す。場当たり的な部分はあるが、鋭い勘によって試験問題を的中させ、高得点に導く。

一方、その前に代表を率いていたイビチャ・オシム監督は、思考力を鍛えるタイプだ。世間にありふれた勉強法には目もくれず、オリジナルの難問を投げかける。生徒のとてつもないポテンシャルを引き出す可能性があるが、時間がかかるのが難点だ。

その前のジーコ監督は放任主義だった。選手たちの力を信頼し、のびのびとプレーさせる。その自由を尊重したスタイルは、型にはめられるのに慣れていた日本人選手にはまだ早すぎ、2006年W杯では1分2敗という惨憺たる結果に終わった。

では、ザックはどんな指導者なのか? あえて受験勉強でたとえると、「公式暗記」タイプだ。

ザックはプロ選手経験がないハンデを、自ら考えた戦術や練習法で乗り越え、イタリアサッカー界でのし上がってきた知将だ。頼れるのは理論のみ。それだけに「ザックの公式」はどれも明快だ。

特に守備のセオリーは、理にかなっている。以下、ザックの練習中のコメントを引用して例を挙げよう。

次ページ練習の多くが“前にやったメニュー”
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT