サッカーの指導法を受験勉強にたとえると・・・
ザックジャパンには、ひとつ構造的な問題点がある。普段はあまり目立たないが、対応を間違えると、チームを機能不全に陥れかねない不安要素だ。
それは、アルベルト・ザッケローニ監督の指導の流儀に、大きく関係している。
本題に入る前に、まずは監督の「指導論」について考えたい。サッカーにおける監督の指導法は、しばしば受験勉強になぞらえる。たとえば岡田武史・前代表監督は、直前対策のプロだ。勉強法にこだわらず、そのときのパフォーマンスが最大になるように、あらゆる引き出しから解決策を探す。場当たり的な部分はあるが、鋭い勘によって試験問題を的中させ、高得点に導く。
一方、その前に代表を率いていたイビチャ・オシム監督は、思考力を鍛えるタイプだ。世間にありふれた勉強法には目もくれず、オリジナルの難問を投げかける。生徒のとてつもないポテンシャルを引き出す可能性があるが、時間がかかるのが難点だ。
その前のジーコ監督は放任主義だった。選手たちの力を信頼し、のびのびとプレーさせる。その自由を尊重したスタイルは、型にはめられるのに慣れていた日本人選手にはまだ早すぎ、2006年W杯では1分2敗という惨憺たる結果に終わった。
では、ザックはどんな指導者なのか? あえて受験勉強でたとえると、「公式暗記」タイプだ。
ザックはプロ選手経験がないハンデを、自ら考えた戦術や練習法で乗り越え、イタリアサッカー界でのし上がってきた知将だ。頼れるのは理論のみ。それだけに「ザックの公式」はどれも明快だ。
特に守備のセオリーは、理にかなっている。以下、ザックの練習中のコメントを引用して例を挙げよう。
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