ザックジャパンの「大きな問題点」 ザック流指導が抱える”爆弾”

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■プレスのスイッチのONとOFFについて

「ボールを持っている選手が背中を向けたら、一気にプレスをかけて奪いに行こう!」(プレスのON)。

「相手の自由を奪ったら、相手がボールを放すまで、アプローチし続けよう。いちばんやられたくないのは、アプローチしているのに前を向かれること。GKのところまで追って行ってもいいぞ」(プレスのON)。

「もし相手が攻撃のサイドを変えてきたら、相手のプレーを遅らせて、チームとしての陣形を整えよう」(プレスのOFF)。

■DFラインの作り方

「ひとりがアプローチに行って、横にいる選手がカバーの位置に入ろう」(=イタリアで「ディアゴナーレ」と呼ばれる守備の基本ルール)。

「いちばんやられたくないのはゴール前にパスを通されることだ。だからボールとゴールを結ぶ線にいる2人がラインを作る役になる。横にいる選手はその2人に合わせて立て」(=DFラインを4人で合わせるのではなく、ボールとゴールを結ぶ線上の2人が責任を持って対応する)。

ボールの位置に応じて体の向きを細かく変えるなど、覚えるべきルールは山のようにある。ザックが招集したばかりの新人をあまり試さないのも、「公式」の理解に時間がかかるからだろう。

「詰め込み式」が生む停滞感

2010年8月末にザックが監督に就任すると、選手たちは初めて耳にする理論に好奇心を刺激され、貪るようにイタリア流のやり方にトライし始めた。2011年1月のアジアカップ優勝という結果が伴ったことで、さらにその流れが加速する。2012年6月にスタートしたW杯最終予選も好スタートを切り、ザックジャパンは右肩上がりに成長する……かに思われた。

しかし、「公式」の暗記をひととおり終えたとき、微妙な変化が起きる。暗記の次に待っているのは、それを忘れないための反復だ。代表は練習する期間が短いうえに、各選手はクラブごとに異なるサッカーをしている。そのため集まるたびに「公式」を復習する必要があり、いつしか代表の練習の多くが“前にやったメニュー”の繰り返しになってしまった。

詰め込み式の勉強を楽しいと感じる人間は少ないだろう。鈍い停滞感が生まれ、2013年はザックの就任以来、最もパプォーマンスが低下した年になる。3月のアウェーのヨルダン戦を1対2で落とし、5月のブルガリアとの親善試合は0対2で惨敗。5月のW杯最終予選のオーストラリア戦は、本田圭佑がPKを決めて何とか同点に追いついて予選突破を決めたが、内容は芳しくなかった。

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