いよいよサッカーW杯が6月12日から始まる。今回は、ザッケローニ日本代表監督の知られざる過去を踏まえたコラムをお送りする。副題をつけるなら「ザッケローニと、たらこスパゲッティ」。ここから、グローバルでの日本企業の戦い方について、ぜひ読者の皆様と一緒に考えたい。
「はぁ?なんで、ザックとたらこスパゲッティなの?」と思われたかもしれない。だが、少々お付き合いいただき、読み進めていただければ幸いだ。
プロ経験がない監督が、なぜ超一流になれたのか
まずは、ザックこと、ザッケローニ監督の話をしよう。彼が挫折に満ちた過去を歩んできたことをご存知の方も多いだろう。サッカーの超一流チームの監督というのは、通常プロ選手として輝かしい実績を残した者がなるものだ。しかし、ザックは10代の時に肺の重い病気でプロサッカー選手になる夢をあきらめ、実家のホテル業を手伝いながら過ごしていた。
初めての監督経験は、イタリアの小さい町の8歳の子供たちのサッカーチームだった。しかも7人しかいなかったため、10点差以上で負けることもしょっちゅうだった。非凡だった彼は隣町のユースチームの指導などで実績を挙げ、ついにプロサッカーのトップチーム(といっても下部組織だが)から、指導者のオファーをもらった。だが、そこからが大変だった。
下部組織とは言えプロチームの監督なのだ。通常のビジネスに例えれば、学歴もなく、仕事での実績もないのに、歴史もある大企業グループの、「孫会社クラスのトップ」につくようなものである。外野からは「プロ選手の経験がない監督は成功しない」、と言われるのは当たり前。選手からも「素人監督」と常に疑いと偏見の眼で見られた。だが、その偏見を打ち破ったのはザック自身の「2つの取り組み」だった。
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