(第6回)住宅投資・耐久財と借り入れ・輸入の関係

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 耐久財のうちの自動車について、やや詳しく見ておこう。

GDP統計によれば、この期間のアメリカにおける自動車への支出は2兆0142億ドルである。他方で、同期間における日本からアメリカへの自動車の輸出は、日本の貿易統計で21兆1215億円だ。1ドル=120円で換算すれば1760億ドルで、前記アメリカの自動車への支出額の8・8%にあたる。

部品も入れれば約27兆円(2250億ドル)で、12・8%になる(なお、同期間におけるアメリカの日本からの財輸入の総額は6569億ドルである。したがって、自動車と部品が4分の1強を占めていたことになる)。

いま一つの重要な耐久財である電気製品についてはどうか。同期間の日本からアメリカへの輸出は、日本の貿易統計で見て12兆7420億円。1ドル=120円で換算すれば、1061億ドルで、アメリカの自動車を除く耐久財支出額2兆6588億ドルの4%にあたる。そして自動車、自動車部品、電気製品の合計は、日本の対アメリカ輸出総額の52・4%を占める。したがって、アメリカにおける耐久財支出の激減は、日本の貿易に極めて大きな影響を与えたのだ。

02~06年の5年間のアメリカの貿易赤字(GDP統計ベース)の累計は、3兆0420億ドルだ(経常収支赤字の累計は3兆0131億ドル)。したがって、財輸入の半分近くは、アメリカの輸出代金によってファイナンスされたのではなく、資本取引を通じてファイナンスされたことになる。この詳細は次回以降に述べることとし、その前に、日本の自動車メーカーのアメリカ国内生産について見ておこう。

日本車メーカーの海外生産の拡大

先に、アメリカの日本からの自動車輸入(部品を含む)は、自動車への総支出額の12・8%だと述べた。一見したところ、この数字は、日常的観察(アメリカの町を走っている車の半分くらいが日本車)に比べて低く思われる。

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