DX時代に「手書き履歴書」求める採用担当者の罪 就活生のその労力を別なことに使ってほしい

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1 志望度の本気さを見たいから

「手書きというかなりの手間のかかるハードルを設けることで、いい加減な気持ちで来る応募を減らす。また字の丁寧さで、志望の本気度がわかる」という意見がありました。

ハードルを設けるという手段は分かりますが、その手段が手書きの履歴書である必要があるでしょうか。会社の理解を促すような課題を与え、レポート作成を求める等で十分ではないでしょうか。手段は色々あると思いますが、どうせハードルを設けるなら、業界、会社、仕事の理解に繋がる手段のほうが、企業にとっても学生にとっても有益じゃないでしょうか。

字の丁寧さでと言いますが、それで本当に本気さが判別できるのでしょうか? 反対に「字の綺麗な学生がよく見える」というバイアスがかかるリスクのほうが大きくなるのではないでしょうか。履歴書の文字を見るより、その学生がどれだけ自社に向かって考えて行動したのかを、丁寧に聞いてあげることのほうがよっぽど志望の本気度を理解することができるのではないでしょうか。

字を見る別な方法はある

2 字を丁寧に書く能力があるか見たい

「手書きの履歴書であれば、字を丁寧に書く能力が確認できる」という意見がありました。

確かに、採用する企業の仕事内容について、丁寧に字を書く能力が必要であるならば、手書きの字を見たいのは分かります。しかし、字を見たいだけなら、わざわざ履歴書ではなくていいのではないでしょうか。選考の中で、アンケートや簡単な作文課題などで、ある程度の字数の文書や言葉を書いてもらえれば、丁寧な文字が書けるかどうかは、十分に判別できるのではないでしょうか。

3 仕事の丁寧さ、几帳面さを見る

「手書きの履歴書の記載部分はスペースをうまく使う必要性があり、また、写真の貼り方なども確認できます。そうしたことから仕事の几帳面さがわかる」という意見がありました。

確かにそのような側面が垣間見えることは事実かもしれません。しかしそのことを履歴書で判断する必要はあるのでしょうか。几帳面さを見る適正検査もあります。また、取り組むことに意味がある課題を与えて、そのアウトプット内容を見て判断することもできます。さらに面接で学生の行動に対するヒヤリングを丁寧にすることで確認することもできます。本当に仕事の丁寧さ、几帳面さを見たいとしたときに、その手段が手書きの履歴書であることが効果的だとは思えません。

4 人となりが伝わりやすい

「データだと見た目の違いがそれほどないので、その人の個性や他の人との違いが分かりづらい。手書きだと、それぞれの個性がハッキリ出やすいので、その人となりが伝わりやすい」という意見がありました。

確かに履歴書における見た目の違いは分かりやすいかもしれませんし、手書きによる伝わりやすさがあることも否定しません。ただ学生にかける負荷と、書いた文字から得られる人となりの情報の質が釣り合っているのかというところに私は疑問を感じます。

人となりは、電子化されたデータの履歴書であっても、その内容をしっかり読み込んだり、書いてあることに対する深掘りの質問をしたりするほうが、より理解できると思います。手書きの履歴書の見た目で良くも悪くもバイアスがかかってしまうリスクを考えると、手書きのほうが人となりが伝わりやすいとは、言い難いと思います。変なバイアスがかからない分、データの履歴書のほうが、人となりをフラットな気持ちで捉えやすいとさえ思います。

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