家1軒分の「不妊治療代」を使った夫婦のその後 22歳から35歳まで治療を続た先にあったもの

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旅行で訪れた当時のご自宅。愛犬を子どものようにかわいがりつつ暮らしていた(写真:筆者撮影)

実は、日本では不妊治療にまったく保険適用がされてないわけではないのです。治療の一部には適用されているけど、適用されてない部分が多くて費用がかかりすぎる、さらなる補助の拡大を検討中、というのが正確な状況なのだそう。

この夫婦の場合、日本で不妊治療をしていたのがかなり前なので、今よりも補助が少なくて費用がかかったと思われます。

とはいえ、不妊治療の保険適用は、治療内容や薬剤など、議論が分かれる項目が多い難しい分野です。政府内でも適用の範囲などを検討中で、保険適用拡大が実現されるにしても、早くても2022年度からだそう。正直、個人的にも、何が適性な適用方法かは明言しにくいなと思っています。

不妊治療をするカップルが抱える苦難

ただ、確実に言えるのは、日本にはそれほど多く不妊治療を受けている人がいるということ。

当連載が、大幅な加筆修正を加えて、このたび書籍になります!『ほしいのは「つかれない家族」 ワンオペ家事&育児に絶望した私が見つけた家族のシアワセ』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

その治療のおかげで生まれた子どももたくさんいるということです。

私の周りだけでも、何人もの不妊治療経験者がいますが、彼らは、不妊治療が心身にも金銭的にも大変だった、仕事との両立も苦しかったと口をそろえて言います。

そして、長く苦しい不妊治療は、夫婦仲にも悪影響も及ぼしがちです。

妊娠は年齢制限というリミットがある世界。一刻も早く、適正な形で助成が増えることを祈りつつ、不妊治療への理解がもっと広まることを祈ります。

というわけで、今回学んだつかれない家族になるヒントは……

子どもができなくてつかれた

不妊治療は本当に大変な世界。
せめて、周りの人は妊娠出産に口出ししない。
全員がそれを意識するだけでもストレスは減らせる!

さて次回は、一度は親になることを諦めたこの夫婦が、なぜ養子縁組という選択をしたのかを紹介します。

この連載にはサブ・コミュニティ「バル・ハラユキ」があります。ハラユキさんと夫婦の問題について語り合ってみませんか? 詳細はこちらから。
ハラユキ イラストレーター、コミックエッセイスト

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はらゆき / Harayuki

雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『女子が踊れば!』 (幻冬舎)、『王子と赤ちゃん』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、この連載を書籍化した『ほしいのはつかれない家族』(講談社)など。この連載のオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰し「つかれない家族をつくる方法」を日々探求、発信中。ハラユキさんのHPはこちら

 

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