妊活延期かコロナ禍で決断迫られる夫婦の苦悩 日本生殖医学会の声明に動揺する人たちも

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新型コロナウイルスの問題は、不妊治療や妊活中の人たちにも人生の選択を迫られるような多大な影響が出始めている(写真:polkadot/PIXTA)
5.5組に1組の夫婦が不妊検査や治療をしていると言われています。妊活や不妊治療という言葉は一般化しましたが、実際に何をするかは経験者にしかわからないのが現実。「不妊治療のリアル」についてリポートしていく本連載。
今回のテーマは「新型コロナウイルスと不妊治療」。コロナ禍の真っただ中に、日本生殖医学会から不妊治療延期の検討を促す声明が発表されたことで、不妊治療や妊活をしている人たちに動揺が広がっています。どのようなことが現場で起こっているのか、その現状や課題などをリポートします。

「不妊治療延期」の検討を促す声明

新型コロナウイルス(以下、コロナ)の問題で生活全般における自粛や対応が求められるなか、4月1日、日本生殖医学会から不妊治療延期の検討を促す声明が発表された。

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妊婦のコロナ感染報告例はかなり少ないが、妊婦が感染した場合の重症化の可能性や、コロナの治療薬として期待されているアビガンが妊婦に禁忌の薬剤であることなどが主な理由だ。

期間はコロナの急速な感染拡大が収まるまで、もしくは妊婦に使用できる予防薬や治療薬が開発されるまで。声明では、医師から患者へ治療の延期を選択肢として提示するよう推奨し、人工授精や体外受精など延期可能なものは、延期を考慮するよう求めている。

これは、「世界不妊学会(IFFS)」や世界の生殖補助医療の効果や安全性を監視する組織「国際生殖補助医療監視委員会(International Committee Monitoring Assisted Reproductive Technologies:ICMART)」など国際的な機関の発表を受けてのもので、世界的な流れともいえる。

しかし、卵子は年齢と同じように歳を重ねるため、妊娠するには少しでも若い卵子がいいのは周知の事実。しかも、通常でも妊娠できるチャンスは月経周期に合わせた年12回ほどと限られており、タイムリミットが迫っている女性にとっては死活問題で、不妊治療や妊活中の人たちは動揺している。

「自然妊娠の人が感染するリスクも十分考えられるのに、なぜ不妊治療だけに焦点が当てられるのか。自然妊娠には制限がないのに、不公平だと思う」と言うのは特定警戒都道府県に在住の森下咲さん(仮名、30歳)。森下さんは日本生殖医学会からのアナウンスをこう受け取った。治療開始から約2年。1日も早く赤ちゃんが欲しいと思ってこの2年を過ごしてきたため、夫婦で話し合い、すでに治療継続を決めた。

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