高額な「不妊治療費を補助」する企業のホンネ

「オムロン・メルカリ」が手厚く支える理由

不妊治療のサポートを積極的に取り組んでいる企業を紹介。各企業はどのように制度を運用しているのでしょうか?(写真:xiangtao/PIXTA)  
5.5組に1組の夫婦が不妊検査や治療をしていると言われています。妊活や不妊治療という言葉は一般化しましたが、実際に何をするかは経験者にしかわからないのが現実。「不妊治療のリアル」についてリポートしていく本連載。
今回のテーマは「不妊治療に対する企業の取り組み」です。女性活躍、ダイバーシティーの視点が必要となるこのご時世において、国や企業はどう対応しているのか、その取り組みを追いました。

不妊治療と仕事の両立は困難

NPO法人Fineがまとめた「不妊白書2018」によると、「職場に不妊治療をサポートする制度がある」と答えた人は5.8%。不妊治療と仕事の両立が困難で、約4割が働き方を変えた経験があるという。仕事をしながら不妊治療を経験したことがあると回答した人のうち95.6%が、仕事と不妊治療の両立が難しいと感じた経験があった。

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不妊治療にかかる費用はかなり高額だ。病院や個人によって費用は異なるが、最終ステップの体外受精・顕微授精になると100万円以上かかったという経験者もざらだ。仕事を続けないと治療費の支払いがキツくなるが、フルタイムで働いていると仕事と通院の両立が難しいといったジレンマに陥る。

一方で、厚生労働省が2017年に「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題」について企業に対して調査を行ったところ、制度化している企業は9%、個別対応している企業は21%と、3割の企業は不妊治療の支援を行っているという結果になった。ただ、導入した企業でも制度利用実績人数は0人や1桁の会社が多く、あまり活用されているとはいえず、現実とのギャップは小さくないといえるだろう。

厚生労働省 雇用環境・均等局 雇用機会均等課 母性健康管理係長の大野晃太氏は、「支援していない企業は、『対象社員がいない』『把握していない』『表面化していない』と実際ニーズの把握をできていないのが実情。不妊治療の場合、ニーズの把握はプライバシーの問題。どういう方法でプライバシーを守るかが大切になってくる」と推察する。

そんななか、プライバシーを守りながら成果を挙げているのが、オムロンだ。同社が不妊治療支援を制度化したのは2005年とかなり早い。まだ不妊治療という言葉自体が浸透していない頃に導入した通算365日まで認める休職制度と補助金制度(オムロングループの共済会が支給)は、形を変えることなく現在まで継続している。

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