子宮の病気抱え不妊治療した女性と家族の覚悟 25歳で発覚した子宮内膜症と向き合い治療

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病気を抱えながら不妊治療した女性の話です(写真:takasuu/iStock)
5.5組に1組の夫婦が不妊検査や治療をしていると言われています。妊活や不妊治療という言葉は一般化しましたが、実際に何をするかは経験者にしかわからないのが現実。「不妊治療のリアル」について、経験者たちに取材しリポートしていく本連載。
今回のテーマは「女性特有の病気」です。子宮内膜症や子宮筋腫は、成人女性の数%~30%はかかるといわれているごく一般的な病気。これらの病気がもとで、不妊治療とダブル治療を行うことになった2人の女性に話を聞きました。※本文で紹介している治療法や手順は一例を挙げているため、病院や個人によって異なります。

病気発覚後に焦って治療を開始

生理痛がひどい、生理不順、不正出血……。長年月経と付き合ってきた女性であれば、多かれ少なかれ何らかの生理にまつわる不調を経験したことがあるだろう。ストレスや健康状態などにも左右されるため、よっぽどのことがない限り、その都度、婦人科を受診する人はまれなはずだ。

外資系メーカーで人事を担当する中島恵理さん(仮名、45歳)も、仕事で忙しく産婦人科を受診したことはほとんどなかった。

「結婚したのは35歳のとき。子どもが欲しいとは思っていましたが、当時はまだ卵子の老化についても知られていなかったこともあり、とくに何もしていませんでした」

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ところが、38歳のとき、会社の定期健康診断で子宮の疾患が見つかり、子宮頸部円錐切除の手術を受けることに。

「幸いにも、子宮を温存することはできましたが、この病気を機に子どもを産めなくなるかも……と思い不妊治療について真剣に考え始めました」

手術の傷が癒えると同時に不妊治療を開始。通いやすさを重視して、職場近所のクリニックを受診した。しかし手術の影響からか、カテーテルが入らず、子宮鏡検査ができなかった。そのため、総合病院に紹介状を書いてもらい、早々に転院することになった。

転院先で改めて検査を受けたところ、子宮筋腫があることが判明した。しかも、多数。子宮筋腫は、30代以上の女性の20〜30%に見られる良性腫瘍。貧血や痛み、不正出血、生理痛などの原因になるが、小さくて無症状の場合などは、すべての子宮筋腫に治療が必要になるわけではない。

中島さんの場合も、数は多いものの健康上は問題になるようなものではなかったため、通常の検診では引っかからなかった。しかし、妊娠を考えると着床の妨げになる位置に筋腫があったため、まずは筋腫を取る手術が必要だった。

術後はしばらく不妊治療を開始できないこと、そのときすでに39歳だったこともあり、まずは採卵し、受精卵を凍結。術後、半年の期間をあけ、また採卵し、計11個の受精卵を凍結した。

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