肺炎が人の命をあっさりと奪う恐怖のカラクリ 体内に発生した炎症が機能不全を引き起こす
激しすぎる炎症は体の機能を停止させる
気温や湿度が下がるにつれ、インフルエンザなどのウイルス性呼吸器感染症患者は増える傾向にあります。とはいえ、感染者が発するウイルスを吸い込んだとしたら、すぐに感染するわけではありません。体に備わっている免疫機能が体内への侵入を阻みます。しかし、100%防げるわけではありません。こうして体内に入ったウイルスも、その多くは免疫細胞の活躍によって倒されます。しかしウイルスとの戦いで免疫細胞が劣勢になると、症状は悪化する一方に。
鼻の粘膜から侵入を許した場合、鼻で戦っているうちは鼻水が出て鼻詰まりになるだけですむでしょう。しかしウイルスがのどにたどり着くと、のどの腫れや痛み、せきが生じます。さらに全身へ広がると、発熱などといった全身症状があらわれるのです。
ここで最も気になるのは、体内にどの程度の炎症が起きるかです。
炎症が起きた部位によっては、命に関わるリスクがあります。
肺に生じた場合を見てみましょう。肺は、肺胞という小さな袋が約3億個集まってできた臓器です。肺胞のまわりには毛細血管、リンパ管と、それらを支える間質があり、毛細血管を介して酸素と二酸化炭素の交換が行われます。
ちなみに肺に炎症を起こす症状の多くは「細菌性肺炎」です。細菌が鼻や口から入り、気管支を介して肺胞に入り込むことで発症します。その細菌とマクロファージなどの白血球が戦った結果として「浸出液」が出ますが、浸出液の量が多いと肺胞内が満たされてしまう。すると肺胞内に酸素が入れなくなり、毛細血管にも酸素が入らなくなって呼吸が苦しくなるのです。
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