日本人がゾッとするアメリカ超監視社会の現実 データを集める警察を市民はチェックできるか

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企業と警察の連帯を可能とする家庭用監視カメラ会社「リング(Ring)」のアプリ「ネイバーズ」。マースさんによるオンライン講演時の動画から (撮影:大矢英代)

リング社のCEOジェイミー・スミノフ氏は昨年8月、全米405の警察署が「ネイバーズ・ポータル」(アプリの拡張版)を導入したと発表したが、「監視の地図」のデータによれば、今年10月8日時点で「リング・ネイバーズ」とパートナーシップを結んだ警察署は全米各地で1501カ所に達している。この1年ほどの間にいかに急拡大したか、よくわかる。

「リング」カメラの導入を積極的に検討する自治体も出てきた。犯罪率がとくに高いオハイオ州アクロン市のマーゴ・ソマーヴィル市長はこの10月7日、地元テレビ局「19ニュース」の取材に対し、「24時間体制の犯罪抑圧につながる」として犯罪が多い住宅街への「リング」カメラ設置を検討していると表明した。一般市民、大企業、行政、警察が一体となった新たなデジタル監視システム。映画のような巨大な監視社会が、「安心感」と引き換えにアメリカの日常となりつつある。

監視カメラの記録映像はどう使われているのか

では、監視カメラに記録された動画は、大企業や警察に渡ったあと、どのように、どんな目的で使用されているのか。そこに市民の手は届かない。それでも監視社会の構築は止まらない。犯罪とは関係のない通行人、自宅を訪ねてきた友人や家族。そうした一般市民の日常も「リング」カメラは24時間、録画し続けている。

マースさんはこう警鐘を鳴らした。

「最大の問題は、監視システムが社会にもたらす長期的な影響がわからないことです。監視の目的は、公共の安全や犯罪を解決することではないと言えるでしょう。少なくともアメリカでは、社会をコントロールする方向に向かっているんです」

取材:大矢英代=フロントラインプレス(Frontline Press)所属。アメリカ在住

Frontline Press

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「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年5月に合同会社を設立して正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や研究者ら約40人が参加。スマートニュース社の子会社「スローニュース」による調査報道支援プログラムの第1号に選定(2019年)、東洋経済「オンラインアワード2020」の「ソーシャルインパクト賞」を受賞(2020年)。公式HP https://frontlinepress.jp

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