パナとNECが激突、空港「顔認証」ゲートの戦い 空港混雑、出入国審査官不足は解決するか
世間はお盆シーズン真っただ中。海外旅行に出掛ける人も多いだろう。そんな楽しい空の旅にも、面倒な手続きが付きものだ。出入国審査である。この手続きのあり方が今、大きな変革期にある。
8月初旬、夏休みの行楽客などで込み合う羽田空港。国際線ターミナルに到着した中国・上海発の便からは、土産物を抱えた家族連れや出張帰りとおぼしき会社員が、続々と入国審査場に流れてきた。
ものの10数秒で無人審査が完了
スタッフの誘導で乗客が向かったのは、審査官の待つおなじみのゲートではなく、ズラリと並んだ10台の無人ゲートだ。まずパスポートを手元のスキャナーにかざし、ICチップ内の顔画像データを読み込ませる。次に、ドレッサーのような大きなミラーに表示される指示に従い、ミラーに埋め込まれたカメラで顔写真を撮影。写真とパスポートの顔情報が照合されると、ゲートが開いて入国審査は終了だ。この間、ものの十数秒。訓練を積んだ審査官の手続き時間とほぼ変わらないという。
結局、大多数の乗客が無人ゲートを利用したが、ピーク時でも長い行列ができることはなかった。乗客からの反応も、「長旅で疲れているときに、人と対面せずスムーズに手続きできるのはありがたい」(20代女性)と上々だ。
法務省は今年、国内5空港(成田、羽田、関西、中部、福岡)にこの顔認証ゲートを本格導入した。現在は日本人向け入国審査場のみに設置されているが、10月からは日本人の出国審査場にも拡大される予定。同時に、外国人の出国審査での実用化に向けた実証実験も始まる。
導入の背景には、深刻化する出入国審査官の人手不足がある。訪日観光客数が伸び続ける今、一部の空港では外国人向け入国審査場の長い待機列が常態化。LCC(格安航空会社)を中心に多くの国際線が発着する関西国際空港の場合、最長待ち時間は1時間を超えることもしばしばある。打開策として指紋認証による自動化ゲートを試験導入したものの、事前の指紋登録が必要なことがネックとなり、利用率は1割を切る。
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