パナの「テスラリスク」はEV電池だけじゃない テスラの大規模リストラで太陽電池に暗雲

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テスラが2016年10月に発表した屋根材一体型の太陽光パネル・ソーラールーフ。イーロン・マスクCEOの自宅にも備えられているという(写真:テスラ)

「テスラが経営危機にあるという認識はしていない。(テスラの量産型セダン)『モデル3』の生産遅延に対しては、担当者が毎日のようにコミュニケーションを取っている。ご懸念いただかなくても大丈夫だ」

6月27日に開かれたパナソニックの株主総会。株主から米テスラとの協業リスクを問われると、車載事業を展開するオートモーティブ・アンド・インダストリアルシステムズ社を率いる伊藤好生副社長は力強くこう答えた。

テスラとEV用電池の供給で提携するパナソニック。これまでテスラがモデル3の量産計画を2度も先延ばしにした影響もあり、二次電池事業は赤字に沈んできたが、状況は好転しているようだ。テスラは生産設備の大規模刷新などを経て、6月末には「(週次5000台の)目標を達成する可能性がかなり高い」(テスラのイーロン・マスクCEO、6月5日の株主総会での発言)。それを受けて、今はむしろ「(パナソニックがテスラに供給する)電池の供給が足りない状況も出てきた」(伊藤副社長)という。

しかし、それだけでは安心できない。実はパナソニックが直面するテスラリスクは、ほかにもある。2016年に協業を発表した太陽電池事業だ。

太陽光パネルでも生産計画未達

パナソニックとテスラが共同で運営する米ニューヨーク州のバッファロー工場。2017年12月から屋根材一体型の太陽光パネル「ソーラールーフ」を生産しており、パナソニックは生産設備などに累計300億円超を投資している。

同工場ではパナソニックがセル(単電池)を供給し、テスラ側がパネルの組み立てを担うスキーム。ただ、ここでもテスラ側が担うパネルの組み立てなどで、生産の遅れが発生している。加えて今回、テスラが太陽光関連事業の事実上の縮小に踏み切ったことが明らかになった。

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