企業へのサイバー攻撃が急増
――IBMの調査によれば、2019年、企業側のシステムの脆弱性を突いたサイバー攻撃被害が前年比3.8倍に増えています。
まず今、世の中が大きく変わっていることを指摘したい。犯罪者の関心事はいつの世も、最も手っ取り早くお金を儲ける方法はどういうものか、ということだ。それはまさに、弱いところを突くこと。リアル空間も同じで、鍵がかかって、監視カメラがあるところに盗みに入るのはハードルが高い。そうでない場所を狙うだろう。
とくにサイバー空間の場合は今、インターネットに「つながっている」ことがより当たり前になっている。つながっていない時代は、どんな行為もスタンドアローン(単独で動作している状態)で、拡張性がなかった。
でも今は、いろいろなデバイス(機器)やサービスがネットにつながっている。リモートワークなどを通じて皆さん実感していると思うが、何もかもがつながっていることによって得られる利便性は計り知れない。
これは犯罪者から見ても、同じように動きやすく、便利な空間だ。昔は情報セキュリティーを考えるときに、重視すべきとされていたのは「C・I・A」の順番だった。これは、Confidentiality(秘密性)、Integrity(完全性)、Availability(可用性)。でも5G、サイバーフィジカルの時代を迎えて、順番が変わった。
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