就活現場で一気に普及「オンライン面接」の功罪 参加しやすいが、緊張感なくカンペ使う学生も

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キャリアセンターの面接指導では、言葉の応接だけでなく、面接室への入り方(礼、あいさつ)に始まり、椅子への座り方なども指導する。だから名前を呼ばれてから面接は始まると信じている学生は多い。しかし、本当はそうではない。面接会場だけでなく、受付に来たときや面接を待っているとき、さらには終わってからも企業はチェックしている。

ところがオンライン面接ではこの前工程、後工程がなく、読み取れる人間性に限界があると感じた企業は多いようだ。

もう1つは「演出」だ。テレビに登場する芸能人は華やかに映るが、スタジオ専用のメークをしているし、プロの照明係とカメラが活躍している。つまり、演出によって見え方は変わる。

オンライン面接でも同じことが起こる。下記のコメントにある「女優ライト」とは、女優さんのようにきれいに見えるLED照明だが、数千円で買える。こういう演出がある学生、ない学生では印象はかなり変わる。

「女優ライトの有無で印象が全く違う。印象操作しやすい」(運輸・不動産、300人以下)

最大のネックは通信環境

以上、オンライン面接のメリットとデメリットを紹介してきた。長所も短所もあるが、いずれ慣れてくるだろう。人間は最初の経験を最もきつく感じるが、2度目3度目になると慣れて対応する術を学ぶ。

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しかし、通信環境の悪さには慣れることはない。多くの企業が通信環境の不安定さに悩んでいる。通信が不安定になる原因はさまざまあるが、企業側のネットワークについては検証・改善することができる。2022年卒採用でオンライン面接を行うのであれば、社内の通信インフラの専門家に相談して、いろんな条件でシミュレーションしたほうがいいかもしれない。Wi-Fiよりも有線LANがお勧めだ。

「通信環境によって、映像や音声が途切れ、面接の進行に影響が出た」(メーカー、1001人以上)

「回線状況の良し悪しで面接の精度が変動する」(商社・流通、1001人以上)

「通信環境が悪くなると、学生、人事双方にとってストレスとなる」(サービス、301~1000人)

学生の通信環境も事前に調べるといいだろう。パソコンを使っていてもWi-Fi環境があるとは限らない。携帯電話をテザリングしてパソコンを繋いでいるかもしれない。

佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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