理系大学院生が内定企業への入社を決める瞬間 社員のコミュニケーション力が志望度を高める

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理系大学院生にとってインターンシップは志望度を高める重要な機会になっている(写真:jessie/PIXTA)

文系と理系では新卒採用事情は大きく変わる。文系で新卒と言えば学部生を指すが、理系では国公立大学を中心に院生(修士)が多い。研究室(指導教官)との強い関係も理系の特徴だ。教授の意向が就職先を左右することがあり、人事部は研究室との関係を重視する。その象徴が「推薦」だ。この20年くらいで有り難みは薄れたが、今日でも「推薦」という制度は存続している。

多くの理系学生は自分の専門分野を意識して志望先を選択する。ところが、文系学生は就職に際し自分の専門性を意識することが少ない。こうした違いについては、2月27日配信記事、「1000人調査で見えた『理系院生』の就活のリアル」の中で触れた。

それを把握する元データは、理系学生向け就活サイト「LabBase」(POL)とHR総研が共同で行った「理系学生(院生)の生態」調査で、2020年1月20日~2月3日に実施している。

今回、就職活動が少し落ち着いた7月6日~12日に「LabBase」とHR総研で再び共同調査を実施した。今回フォーカスしたのは理系大学院生の「就職活動事情」である。調査項目は多岐にわたるが、今回は「内定」と「承諾」に絞ってその実態を紹介していきたい。

内定のピークが今年は異なる

内定時期では「1社目の内定」と「入社予定企業からの内定(志望の確定)」の時期を検討する必要がある。理系の1社目の内定時期は「修士1年3月」に22%で最初のピークがあり、「修士2年4月」が19%だ。5月は10%と下がるが、6月に上昇して18%になっている。

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このデータでわかるのは理系の内定時期は文系より早いことだ。「修士1年3月」までに内定を得ている理系大学院生は50%と半数を占めている。

ただ、毎年このようなカーブなのかというと、今年の4月以降はコロナ禍によって大きな影響を受けているはずだ。コロナ禍の報道は1月に始まったが、深刻に受け止められるようになったのは、リクルートキャリアが合同企業説明会の中止を発表した2月20日、安倍首相(当時)が全国の学校に臨時休校を要請した2月27日あたりを起点とし、オリンピックの延期が発表された3月25日、4月に入ってからの緊急事態宣言(4月7日に東京などの7都府県、16日に全国)でピークとなる。

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