理系大学院生が内定企業への入社を決める瞬間 社員のコミュニケーション力が志望度を高める

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採用面接で志望を固めた学生のコメントを読んで、あらためてコミュニケーションの基本は、主張することではなく、聞くことにあると思った。

「きく」には「聞く」と「聴く」があり、「聞く」で思い出すのは、エッセイスト阿川佐和子さんのベストセラー『聞く力』(累計170万部)、そして「聴く」は、社会人基礎力の「傾聴力」だ。

漢字は異なるが意味するところは似ている。聞(聴)いてもらえると人は認められたと感じ、相手に対する好感が増し、就活生の場合は志望度が強まるようだ。すべての人間関係で必要な能力だろう。

「面接官の雰囲気がよかった。こちらの希望や性格を理解してくれようとする姿勢があった」(岐阜大学大学院・生物・農)

「選考の中で、自分を最も引き出してくれたと感じた。また、選考途中で会社説明などの動画をみて、志望度が高まった」(京都大学大学院・生物・農)

「面接で自分の素を出すことができた。また、面接官の印象が良く一緒に働きたいと思えた」(東京大学大学院・生物・農)

説明会・セミナーのポイント

「説明会・セミナー」に関するコメントで多いのは、「具体性」「正直さ」「人の魅力」だ。たぶん説明員には若手のエース級人材を起用しているのだろうが、格好よい若手社員が弱みを正直に話せば好感度が増すのは当然のことかもしれない。

「働くイメージが具体的に持てた」(茨城大学大学院・天文学)

「昨今の情勢に合わせた強み弱みをしっかりと説明されていたため印象に残った」(九州大学大学院・電気・電子)

「働いている方が生き生きとしていた。具体的な環境や業務の説明を通して興味を持った」(神戸大学大学院・電気・電子)

いくらホームページや説明会・セミナーで説得力のある説明をしても、学生が納得するとは限らない。ところが、社員と話すと納得する学生が多くなる。特にOB・OG訪問では社員を監視する人事部もいないことがほとんどだから、文字通り先輩と後輩という関係で会話することができる。

「福利厚生が手厚く、家庭を大切にする事ができる企業だと感じた」(京都工芸繊維大学大学院・化学)

「社内の雰囲気や社風を深く理解できた。また、(こっそり?)社内の食堂や設備を案内してくれたので、働く場所をほかの学生よりも深く知ることができた」(上智大学大学院・電気・電子)

「実際に働いているOBの話を聞いて、入社したい気持ちが高まった」(青山学院大学大学院・情報)

「OBとの面談を通じて、自分の専攻で得た知識が活かせると思った」(北陸先端科学技術大学院大学・情報)

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