「リアルかWebかで苦悩」就活・採用現場の本音 リスク恐れ人事は二の足、学生はどう動くべき?

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リアルに会う場を設けると、感染リスクを回避する取り組みをしたとしても、リスクをゼロにすることはできません。価値観は人それぞれですので、万が一感染者が出たら「仕方ない」と言う人もいれば「大問題だ!」という人もいます。「大問題だ!」ということが企業名含めてニュースになってしまった場合、採用活動はもちろん、事業活動そのものにも悪影響が出てしまう恐れがあります。

リアルに会う場を設けるメリットがわかっていても、それ以上にリスクのほうが大きく見え、その責任を背負いきれない人事や経営者が多いのです。

特に、「エッセンシャルワーク」と呼ばれるような、今の社会のインフラを支える重要な仕事を生業にしている企業は、実際に外で多くの人に会う仕事が中心です。そのため、ミスマッチを防ぐ意味でも、リアルに会う場を設けることの重要性を理解しています。

それでも、その企業の人事の担当者たちは「今は、リアルに会う場を作りにくい」と嘆きます。

ある人事担当者は、「仕事を内勤だけで回せる企業の人たちが、『私たちは仕事も採用もすべてWeb対応で十分。Web対応できない企業は淘汰されていく時代』などと発言するのを見ると正直イラっとくる」と漏らしていました。

「Web対応できない企業は淘汰」発言に憤慨

そして「その企業の仕事はそうかもしれない。確かに時代の進化にあわせた対応は必要。でもWeb対応できない重要な仕事は世の中にたくさんある。ほぼWeb対応できるといった企業も、社会インフラを支える現場仕事が必要な企業の存在があって成り立っている場合があるのに、Web対応できない企業を一概に悪いように発言するのは、どうかと思う。また、その一部の人たちが、現場からコロナ感染者が出たことを叩いたりして、企業・業界・仕事に対する風評被害を作り上げていることも悔しい」とも語っていました。

自分たちの仕事に誇りを持っているだけに、本当に今の状況が不本意なのだろうなと、聞いていてとても辛くなりました。

国や業界団体などが、採用活動で直接対面する場合のガイドラインを示すことがあれば、それが世間に説明する根拠になるので、状況は変わると思います。しかし、今はまだ明確な基準がありません。各企業が、採用活動について、自分たちの責任の下、自分たちで判断することが強く求められている状況です。

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