コロナ危機が導く「グローバリズム以後」の世界

「東京五輪」と「大阪万博」を諦めない日本の末路

東京五輪開催に執着し、新自由主義やグローバリズムという平成のテンプレートを踏襲し続ける日本の行く末は……(写真:Kim Kyung-Hoon/ロイター)
内外で議論の最先端となっている文献を基点として、これから世界で起きること、すでに起こっているにもかかわらず日本ではまだ認識が薄いテーマを、気鋭の論客が読み解き、議論する「令和の新教養」シリーズ。
今回は、中野剛志(評論家)、佐藤健志(評論家・作家)、施光恒(九州大学大学院教授)、柴山桂太(京都大学大学院准教授)の気鋭の論客4名が、コロナ後の社会・経済・国家をテーマに討議した座談会の第2回をお届けする。

グローバリズムの終わり

佐藤:今回のパンデミックが、グローバリズムの弊害という特徴を持つことは間違いないでしょう。ジェット機による交通と輸送の発達抜きに、ここまで感染が急速に拡大することはありえません。経済にしても、国境を越えてサプライチェーンが広がったことで、ドミノ式に大きな打撃を受ける下地ができていた。

これから世界で起きること、すでに起こっているにもかかわらず日本ではまだ認識が薄いテーマを、気鋭の論客が読み解き、議論します。この連載の記事一覧はこちら

ところがナショナリズムに回帰しても、それで問題が解決するわけではない。交通や輸送のレベルを、100年前に戻すなど不可能です。病原体にしてみれば、世界は1つになって久しいんですよ。

裏を返せば、世界全体の健康なくして自国民の健康もない。そうなると、ナショナリズムだけでは十分ではありません。一筋縄ではゆかない話です。

柴山:僕もこのコロナ危機が起こったとき、「グローバル化の終わりがはっきり見えてきたな」と感じました。

実は統計的にはグローバル化の流れは、2008年のリーマン・ショック以後、止まりつつあったんです。世界の貿易の伸びは2007年をピークに停滞しているし、直接投資に至ってはピーク時の4割に落ち込んでいます。ただ世界的にそうなってきた中で、貿易と投資を増やしている国もいくつかあって、日本もその1つですね。

ヒト・モノ・カネの中で唯一ヒトの移動だけは、金融危機以降も相当な勢いで伸びていた。主因は観光客の増加です。人の移動が増えていたので、グローバル化が終わったという感じはなかった。しかし今回、そのヒトの移動が完璧に止まってしまった。国境封鎖を解けない状況が長期にわたって続き、当分は回復しないでしょう。

今後はどの国も、それを前提に経済政策、社会政策を考えざるをえない。貿易や投資、人の移動が年々伸び続けていくという意味でのグローバル化の時代は、終わりの時を迎えています。

僕はこれまで「グローバル化の時代はいずれ終わる」と言っていた立場ですが、「こういう形で終わるんだな」ということが感慨深かったですね。

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