アメリカは「ファンタジーランド=幻想国家」である
カート・アンダーセンの『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史』は、「アメリカは近代的・合理的に見えて、実は宗教的な幻想国家である」というコンセプトの下、同国の歴史をたどり、その本質に迫ろうとする野心的な著作だ。
アンダーセンは小説、評論、ラジオ番組やポッドキャスト、さらにはシナリオや舞台台本など、多方面で活躍する人物。上下巻合わせて、800ページを超える大著である。
題名の「ファンタジーランド」とは、長年保たれていた幻想と現実のバランスが崩れ、「何でもあり」になってしまった現在のアメリカを指す。くだんの傾向は1980年代に目立ち始め、2000年前後に支配的になった。
その根底にあるのは、「どんなことであれ、心から真実だと信じれば、それが真実なのだ」という発想である。つまりは主観的認識を、客観的事実よりも正しいと見なすわけだが、関連して興味深い例を挙げよう。
本書には登場しないものの、アメリカにリチャード・カールソンというベストセラー作家がいる。自己啓発本『小さいことにくよくよするな!』シリーズで有名な人物だが、彼は著書で「『信じていること』ではなく、『知っていること』に従って行動せよ」とアドバイスした。
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