アメリカは「神の国」行きの巨大な列車だ

宗教的幻想と技術革新が生む「SF的現実世界」

覇権国アメリカはどこへ行くのか。思想や歴史をたどり、その本質に迫る(写真:Zheka-Boss/iStock)  
内外で議論の最先端となっている文献を基点として、これから世界で起きること、すでに起こっているにもかかわらず日本ではまだ認識が薄いテーマを、気鋭の論客が読み解き、議論する「令和の新教養」シリーズ。
第1弾は、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開する佐藤健志氏が、『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史』から、アメリカの大衆文化や21世紀世界の行方を論じる。

アメリカは「ファンタジーランド=幻想国家」である

カート・アンダーセンの『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史』は、「アメリカは近代的・合理的に見えて、実は宗教的な幻想国家である」というコンセプトの下、同国の歴史をたどり、その本質に迫ろうとする野心的な著作だ。

『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

アンダーセンは小説、評論、ラジオ番組やポッドキャスト、さらにはシナリオや舞台台本など、多方面で活躍する人物。上下巻合わせて、800ページを超える大著である。

題名の「ファンタジーランド」とは、長年保たれていた幻想と現実のバランスが崩れ、「何でもあり」になってしまった現在のアメリカを指す。くだんの傾向は1980年代に目立ち始め、2000年前後に支配的になった。

その根底にあるのは、「どんなことであれ、心から真実だと信じれば、それが真実なのだ」という発想である。つまりは主観的認識を、客観的事実よりも正しいと見なすわけだが、関連して興味深い例を挙げよう。

本書には登場しないものの、アメリカにリチャード・カールソンというベストセラー作家がいる。自己啓発本『小さいことにくよくよするな!』シリーズで有名な人物だが、彼は著書で「『信じていること』ではなく、『知っていること』に従って行動せよ」とアドバイスした。

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