アメリカ保守が「建国の父」を自己批判した理由 リベラリズムが「格差拡大、国民分断」を生む

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今、アメリカではリベラリズムをめぐって大きな論争が起こっている(写真:AcidTestPhoto/iStock)
EU離脱をめぐって渦中にある英国で10万部を超えるベストセラーとなり、世界23カ国で翻訳され、日本でも刊行された『西洋の自死 移民・アイデンティティ・イスラム』。同書は、欧州における移民問題を切り口に、「リベラリズム」がいかに死んでいくのかを、英国のジャーナリストがつまびらかにレポートした本だった。
ではリベラリズムの本場であるにもかかわらず、トランプ大統領を生んでしまったアメリカでは、いまどのような議論が展開されているのか。2018年にアメリカで刊行され、ニューヨーク・タイムズをはじめとするさまざまなメディアで取り上げられた『Why Liberalism Failed』という本を中心に、政治哲学研究の俊英、施光恒氏がレポートする。

アメリカで大きな反響

Why Liberalism Failed』は2018年にアメリカで出版された政治哲学の本で、直訳すれば「リベラリズムが失敗した理由」となる。

著者パトリック・J・デニーンは1964年生まれの55歳。カトリック系のノートルダム大学の政治学者で、自らもキリスト教徒であり、アメリカでは保守派に相当する。

『西洋の自死 移民・アイデンティティ・イスラム』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

リベラリズム(自由主義)の定義は文脈により異なるが、ここでは、個人主義の立場をとり、個人の選択の自由やさまざまな権利に価値を置き、その保障のために社会や国家が作られたという見方を意味するといえる。

著者であるデニーンは、リベラズムが現代の主流の思想であり、とくにアメリカはリベラリズムの理念に基づき作られた国だということを認めつつ、リベラリズムを正面から批判していく。リベラリズムを基礎とするアメリカの建国の理念や憲法に対してまで疑念を突きつけるラディカルな書物だといえる。

だが、リベラル派の牙城ともいえるニューヨーク・タイムズ紙でも出版直後に複数回書評で取り上げられたのをはじめ、さまざまなメディアでその主張が論じられ、ハードカバー版に続いてペーパーバック版も出るなど、アメリカ国内では大きな反響があったことがうかがえる。

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