「欧米は個人主義、日本は集団主義」は大嘘だ 「忖度」はアメリカでも日常茶飯事な理由
日本型自律性とは
佐藤:施さんは今年、『本当に日本人は流されやすいのか』(角川新書)を上梓されましたね。この30年余り、わが国は「良くて成果なし、悪ければ弊害だらけ」の新自由主義改革を続けてきましたが、それを「自分に合っていない自己啓発にこだわる人」に例えていたのが印象的でした。
施:21世紀の日本を21歳のJくんとすると、戦後の日本を次のように擬人化できます。
彼は19歳のときまでひきこもりがちだったのですが、穏やかな生活を送っていました。19歳になって半年過ぎたころ、遠くから来た乱暴者たちに半ば強引に世間に引っ張り出された。世間に順応しようと懸命になり、どうにかうまくやっていったのですが、20歳の半ばごろ、遠くから来たその乱暴者たちと大ゲンカして結局、負ける。
その際、近所の幼なじみたちにも少々乱暴な振る舞いをしたとして、結局は保護観察処分となり、今後、生活の基本ルールを守って慎ましく行動するよう裁判で言い渡された。そのルールが日本国憲法で、保護観察司がGHQですね。むろん、裁判とは東京裁判です。
その後は勤勉に働いて、経済的には豊かになったけれども、幼なじみから昔の行いを責められたりして、自信満々になったかと思えば落ち込んだり、かなり不安定なキャラクターになっている。
「更生したばかりの元非行少年」という揺らぎやすいアイデンティティを持っているゆえ、自分に自信が持てない。それでJ君は最近、自己啓発にはまっています。
仕事のやり方や生活習慣を改善するための自己啓発に一生懸命で、最近は「英語を身に付けグローバル化に対応しなければ」とか、「プログラミングを勉強しなければ」などと思ったりもしている(笑)。まじめなJ君はやはり懸命に努力し、乱暴者の親分格だったUS君に認められようと日々自己啓発に取り組み続けます。しかし、J君は、自分の基本的なアイデンティティを喪失していますので、的外れな自己啓発を繰り返してますます自信をなくし、やる気も日々失われていっている。
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