21世紀の日本は「あの世」を信じる人が多数派
お盆には故人の霊が帰ってくるという。一方で、死後四十九日で輪廻転生するともいわれているし、天上や地下に行ったり、復活するまで留め置かれたりもするという。いったい人は死後にどうなるのだろう? あまりにデリケートな話題だから、親しい間柄でも迂闊には触れられない。けれど、ネットで先人の死後観に触れることはできる。
「Aは神様になって、浄土でみんなのことを見守っています」
これは4年前に更新が止まったブログの最後の投稿に書かれた一文だ。乳がんを患ったブログ主(Aさん)が亡くなり、管理を引き継いだ家族がブログの締めにつづった読者への別れのあいさつに添えられていた。複数の宗教観が混ざっているようにもみえるが、故人が死後もどこかで存在していていると家族が固く信じているのは伝わってくる。
日本人は一般に宗教的な価値観が薄いと言われるが、死後の世界を信じる人の割合は戦後から伸びている。
統計数理研究所が1953年から半世紀以上にわたって実施している「日本人の国民性調査」によると、「『あの世』を信じるか」という問いに対して、1958年時点では信じるが20%、信じないが59%だった。その50年後の2008年には、信じる38%、信じない33%と割合が逆転。その後も死後を信じるほうが優勢なまま推移している。
だから日本語のサイトにはさまざまな死後の光景が表現されている。家族の死に接したり、自らの死と向き合ったりしたときに、ふとそうした価値観がのぞくことが多い。とくにブログの最後に添えられる辞世の投稿には、その人なりの死後観が残りやすい。
例えば、大手メディアを定年退職した直後にすい臓がんが見つかった60代男性のBさんは、闘病をきっかけにブログを始め、ちょうど1年後となる2013年の秋に人生の幕を下ろした。ブログの最後、治療や病状について淡々とつづる中に、かすかに死後に言及した記述が残されている。
「本音を言えば、せめて70歳までは、せめて子どもが結婚するまでは生きていたかった。その意味では誠に残念・無念である。
しかし運命には逆らえない。あの世にもいろいろ事情があるのだろう。そう思って少しは明るい気分で逝くことにしたい。両親や祖父母、友人、すでに逝った職場の先輩なども彼岸にはたくさんいる事である。この世の報告をしてあの世のことを教えてもらおうと思う」
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