通夜にフライドチキンを食べる一家のヒミツ

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ウエディングドレスを着たおばあちゃんの正体は…(イラスト:Masami Ushikubo)
『家族無計画』『りこんのこども』など家族に関する珠玉のエッセイを生み出してきたエッセイストの紫原明子さん。この連載でつづるのは、紫原さんが見てきたさまざまな家族の風景と、その記憶の中にある食べ物について。紆余曲折あった、でもどこにでもいる大人たちの過去、現在、そして未来を見つめる物語です。

Iとは約10年近く前、お互いの長男が小学校の同級生だった縁で知り合った。いわゆるママ友だ。

といっても、最初の数年はあいさつを交わす程度の浅い付き合いで、今のように仲良くなったのは、ある年に開催されたクラス親睦会でのことだった。たまたま近くに座ったので話していると、彼女の喋り方に懐かしいアクセントを感じた。

紫原明子さんによる新連載。この連載の一覧はこちら

「もしかして、九州ですか?」

尋ねると大当たり。Iは鹿児島の出身だという。私は福岡なんですよ、と言うとIは、「え〜奥さんも九州?! あらま」と、やはり九州特有のアクセントをにじませつつ、驚いてみせた。

昭和の主婦はコスプレ…?

それにしても今日、目の前にいる相手を“奥さん”なんて二人称で呼ぶことは滅多にない。私が子どもの頃にはたしかに、実家の母が使っていたという記憶はあるけれど、今まわりを見渡しても、現役で使うのはIくらいのものだ。

“あらま”なんて驚きの声だって、漫画以外ではやっぱり滅多にお目にかからない。かれこれ30年近く東京に住んでいるというのに一向に抜けないアクセントも、短い会話にさえぬかりなくにじみ出るちょっと古めかしい表現も、Iの素朴で飾らない人柄を表しているようで、いいな、と思った。

……ただ、同時に必ずしもそれだけではないような気がかりもあった。素朴で飾らない人、それ以上にもっと作為的な何かがあるような……。昭和の主婦みたいな言い回しの裏には、昭和の主婦のコスプレみたいな、どこか演技じみたニュアンスがなきにしもあらずだった。……もしかするとこの人、面白い人なのかもしれない。

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