「アイドルは顔だ」と誤解する人が知らない真実 「可愛い=人気が出る」とは限らない理由は?

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仮面女子には独自の「昇格制度」があります。研究生、候補生、そして最後は仮面女子へと、ステップアップしていきます。「(見習い生→)ユニット無所属(AJ)→研究生→候補生→仮面女子」という感じです。

事務所に所属したといっても、最初からいきなりステージに立てるわけではありません。最初は、物販に参加したり、裏方の仕事をお手伝いしつつ、ダンスや歌のレッスンを受けます。そうやって実力をつけていき、昇格試験に臨みます。

アイドルは「可愛ければOK」の世界ではない

昇格するメンバーを発表することを「組閣」と呼びます。組閣は仮面女子の一大イベントのひとつで、ステージ上でファンの皆さんを前に、大々的に発表されます。

昇格に必要なことは、歌やダンスなどの実力はもちろんのこと、「一定のファンがついていること」も外せない条件です。

「デビューして活動しているうちにファンがつく」という仕組みではありません。地下アイドルの使命として「自分で積極的にファンを獲得していかないとダメ」なのです。

では、どうしたらファンを獲得できるかというと、まずは「ファンの方とのコミュニケーションをしっかりとる」ことがとても大切です。ファンの方の名前を覚えたり、前に会ったときの会話を覚えているなどです。

このファンの方とのコミュニケーションが、とても上手な子もいれば、そうでもない子もいます。もちろんコミュニケーションが上手な子のほうが、ファンが多くつきます

だからこの世界は「可愛ければOK」「歌やダンスの実力があればOK」というだけでもないのです。

地下アイドルのファンの方には、「応援しているアイドルが成長していくのを見守りたい」「アイドルと一緒に自分も成長したい」という独特の心理があるのだと思います。

だから、あまり完成しすぎてしまった子よりも、未完成の子のほうがファンがつきやすいという現象も生まれます。

年齢的にあとのない、崖っぷちでアイドルとしてのスタートを切った私ですから、「1日でも早く昇格したい!仮面女子になりたい!」という思いでいっぱいでした。

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