「アイドルは顔だ」と誤解する人が知らない真実 「可愛い=人気が出る」とは限らない理由は?

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候補生時代もステージに立つのは楽しかったのですが、やはりどこかで「昇格しなきゃ」という焦りがつねにありました

でも昇格したことで、今までの呪縛が解かれたように、すべての迷いがなくなり、私は本来の自分の姿を取り戻し、のびのびと活動することができていました。

メンバー同士もすごく仲がよかったし、本当にすべてが夢のように順調でした

「ずっとステージに立てる」と信じて迎えた「あの日」

私にとって「アイドルとは何か」「仮面女子とは何か」と考えると……。ステージに立ってみんなに応援してもらえることは、自分の存在を認めてもらえることであり、もちろんそれ自体は大きな喜びです。

でもそれ以上に私は、笑顔や元気を届けて、人の役に立つことによって、自分の存在意義を感じることができる人間です。

みんなが笑顔になってくれる、勇気を持ってくれる、そういうことが私の生きる力。だからいつも私が元気で、笑顔でいないといけない。仮面女子になってからは、それをより強く意識するようになりました。

ただひとつだけ悩みがあるとしたら、将来のこと。すでに25歳になっていたから、「あと何年この仕事ができるだろう」という漠然とした不安はありました。

でも、続けられる限りはアイドルを続けよう……。そんな気持ちで、今を大切に、毎日を大事に、仮面女子の活動を続けていました

「この先もずっとステージに立ち続け、歌って、踊ることができる」心から信じて、疑いもしませんでした

そうやって迎えた、2018年4月11日。あの日、風が強く吹く中で

私はいつものように、ステージに向かって歩いていました

猪狩 ともか アイドルグループ「仮面女子」のメンバー

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いがり ともか / Tomoka Igari

1991年生まれ。埼玉県出身。

2018年4月、強風で倒れてきた看板の下敷きになり、緊急手術を受けたが脊髄損傷を負い、以後、下半身不随に。歩くことはもちろん、自力で立つことさえできなくなった。

絶対安静の状態からリハビリを経て、車椅子に乗りながらアイドルとして復帰を果たし、現在は、NHK Eテレ『パラマニア』にレギュラー出演するなど、アイドル以外にも活動の場を広げている。東京都「東京2020パラリンピックの成功とバリアフリー推進に向けた懇談会」メンバー。東京都より「パラ応援大使」に任命。9月23日には初めて作詞した究極の応援ソング『ファンファーレ☆』も公開された。

 

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