「全裸監督」ドラマPが伝授する不安のしのぎ方 「ストーリー力」で時代を捉え人生を再設計

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よく、採用面接や人事研修で「自分の人生曲線を作ってみる」という課題(ワーク)があります。例えば私自身で簡単に書いてみると下記のような形でしょうか。

(出所)筆者作成

就職してから日々どん底だったわけではなく(笑)、自分なりに悔いなくやってきた自信と、それなりの成果はもちろんありました。ですが、この図を書いてみて、少し前までの自分はどのような仕事が向いているかなど、迷いの中にいたのかもしれないと新たに気づくことができた気がします。人は過去から未来への流れが把握できると安心できますし、自分の人生をドラマカーブのような形で表現することは非常に有意義です。ぜひ一度書いてみることをお勧めします。

書いてみるとわかるのですが、過去の捉え方は自分次第ですし、過去の位置づけによって、自分が取るべき行動も見えやすくなります。過去から現在への流れを的確に把握し、未来につなげていく力も「ストーリー力」と言えるものです。

「反転」「再起」を描ければ不安は減少する

ドラマや映画などのストーリーの作り方を学ぶことで、自分の人生をより意図的に、前向きにデザインしていくことも可能だと私は考えています。自分のドラマカーブを書き出してみると、自分の現状位置を「ボトム」と位置づける人も多いでしょう。先行きが見えない不安と戦っている人が多いのは間違いがありません。

しかし、自分の位置をボトムと位置づけ、そこから反転させる道筋を想像できたらどうでしょうか。簡単には「反転」「再起」しないかもしれませんが、それでも今自分がどういう気づきを経て、反転していくイメージを持てるか、少なくとも過去から現在、未来への流れが連続している、そこに自分のストーリーがあることを感じられたら、不安は減少させられる可能性があると思います。

ダーウィンはこう言いました。

最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。
唯一生き残ることができるのは、変化できる者である。

これは「変化できる者が生き残る」という教訓ですが、そもそも変化しない人間や人生などはありえません。私たちはつねに変化し、自らのストーリーを作り続けています。そしてその変化をどのように位置づけるかは、主観やそれぞれの意思によります。自らの捉え方や意思によっていくらでも自分の未来はデザインできるのです。

たちばな やすひと プロデューサー

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Yasuhito Tachibana

1975年愛知県生まれ。東京大学理学部卒。有線ブロードネットワークス(現、USEN)、TBSグループの制作プロダクションであるドリマックス・テレビジョン(TBSスパークルに吸収合併)を経て2018年独立。プロデュースしたドラマは、『全裸監督』(Netflix)、『オー・マイ・ジャンプ!~少年ジャンプが地球を救う~』(テレビ東京)、『マリオ~AIのゆくえ~』(NHK BS)など。

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