「全裸監督」ドラマPが伝授する不安のしのぎ方 「ストーリー力」で時代を捉え人生を再設計

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時代が大きな変化を迎えている今こそ必要な「ストーリー力」。ドラマプロデューサーがストーリー作りのメソッドの一部を解説します。(写真:Sebastian Gorczowski/iStock)

人はつねに未来を予測しながら生きています。例えば「この書類を見せたときの上司や得意先の反応はどうか?」といった予測から、「うまくいきそうだから、この手配はもう済ませておこう」など、予測を基に現在の行動を修正したりするわけです。

また、予測した未来から過去を捉えなすことも行われていて、自分の目標や仕事のミッションが変わることで、これまでの無駄だと思っていた過去の出来事が貴重なものになったりする経験は誰にでもあると思います。人は過去を分析し未来を予測する一方、その未来から過去の位置づけも捉え直し、そうやって動的に過去と現在と未来は変化しながらつながっているのです。

私は日々、プロデューサーとして「ストーリー」作りに取り組んでおり、直近ではNetflix『全裸監督』などドラマ作品をプロデュースしています。仕事でドラマ制作に携わる中で気づいたのが、過去→現在→未来へのつながりは、まさに「ストーリー」と呼べるものだということです。「ストーリー」は、小説家やシナリオライターが作るものだけではなく、我々は日々自分が主人公となったストーリーを作り続けているのです。

不安定な時代を生き抜くために必要な「ストーリー力」

例えばコロナ関連、今では少し落ち着きましたが、ちょっと前までは、多くの人がコロナ情報に一喜一憂していたと思います。朝の情報番組を見ては、「まだまだ非常事態宣言が解除されない未来」、解除されてからは「また感染者が増え再び制限される未来」、「非常事態宣言も解除され、通常の生活が戻る未来」などのように、複数の未来をシミュレーションして生きている人がほとんどだったでしょう。

その1つひとつのシミュレーションも「ストーリー」と言えます。不安定なときには、頭の中にはいくつものストーリーが走り、たくさんの未来に備えるのです。しかし、たくさんのストーリーを頭の中に走らせるのは、脳にとってはエネルギーの消費が激しいのでうれしいことではなく、それが原因でストレスにもつながります。

これからの時代、ますます不確実性は高まっていくでしょう。いたずらにあおるつもりはありませんが、少なくとも楽観できないのは事実です。今後、ますます不安定になると仮定した未来を生き抜くために、時代を捉え、自分の人生をデザインしていける力が必要になる。私はそのために必要な力を「ストーリー力」と読んでいます。

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