ただし、尾道ラーメンを筆頭として認知度で言えば相対的に下位のご当地ラーメンは東京都内では、あまり広がっていない。
日本最大級のラーメン専門クチコミサイト「ラーメンデータベース」において、東京都内に絞って「博多ラーメン」や「札幌ラーメン」を検索すれば山ほど出てくるのに対して、「尾道ラーメン」のキーワードで都内のお店を検索してみると、5軒しか出てこなかった(2020年6月18日調べ)。
同じく都内では富山ブラック、佐野ラーメンも4軒ずつ、京都ラーメンは2軒だ(ただし、ラーメン通の間では「天下一品」や「ますたにラーメン」が京都ラーメンの一種という見方もある)。
尾道ラーメンを、ちなみに全国で調べてみると94軒(同)。「麺一筋」は尾道ラーメンが都内で食べられる数少ない店の1つだった。
ご当地ラーメンそれぞれの事情はあるだろうが、尾道ラーメンがなかなか都内で広がらない理由は何か。
尾道の多くのお店は支店を持たずに営業
現地・尾道で創業15年のラーメン店「喰海」の店主・榎本洋士氏はこう語る。
「1994年に新横浜ラーメン博物館がオープンし、全国のご当地ラーメンに注目が集まりました。尾道ラーメンもその1つです。その後話題になり、カップ麺なども発売され、名前だけが知られる形で独り歩きしていきました。ですが、尾道の多くのお店は支店を持たずに営業しているので、都内に進出できていないんです」(榎本氏)
全国的にはそれなりの知名度がある尾道ラーメンだが、実は現地の尾道でさえそんなに軒数があるわけではない。ラーメンテーマパーク「新横浜ラーメン博物館」(神奈川県横浜市)の調査によれば、札幌市内には札幌ラーメンの店舗数が632軒あるのに対し、尾道ラーメンは現地に23軒しかない。
正確に言うと尾道にラーメン店は60軒ほどあるが、いわゆる「尾道ラーメン」を提供しているのはそのうちの一部である。そして、その多くが個人店。尾道から東京都内に進出した例がほぼないようだ。昨年6月には尾道ラーメンの代表店「朱華園」が休業を発表し、地元メディアをにぎわせた。
「すみれ」(札幌ラーメン)、「博多一風堂」「一蘭」(博多ラーメン)といった有名店・チェーンはご当地ラーメンとして有名になり、現地で盛り上がって東京都内に進出したり、その店の弟子や影響を受けた店を生んで全国に広がったりしている。
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