日本がコロナ2波に勝つ科学的で現実的な戦略 鎌江東大教授が説く社会的価値のある医療政策

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第2波を抑え込み日常を取り戻すことは十分可能だ。写真は緊急事態宣言解除後の6月1日の丸の内(撮影:梅谷秀司)

――第1波の経験を生かした第2波への具体策を提言されています。

日本がPCR検査をやみくもに広げず、クラスター追跡を行ってきたやり方は一定の成果を上げた。これは評価できる。

クラスター潰しは、どこの国でも取り組めるわけではない。保健所のようなインフラ、そこで働く人たちの高い意識や仕事に対するロイヤルティー、医療に限らずさまざまな世界で指摘される日本人特有の生真面目さが発揮されたのではないか。スタッフや経費が制限された状況下でも、保健所をはじめ、現場の行政・医療関係の人たちが昼夜を問わずにクラスターの追跡を続けた。アメリカのようにエリートと現場とが乖離している社会では難しい面がある。素直に誇っていい。

ただ、ここから先、経済活動の緩和に伴って感染者の行動範囲が広がることを考えると、感染者の濃厚接触者、そのまた濃厚接触者まで追跡する、つまり、従来のやり方を拡大した「メガクラスター追跡作戦」の展開が望まれる。鎖国状態がいつまでも続けられないので、入国制限を緩め始めていることも心配だ。南半球は冬になっているし、空港での水際作戦も含めて、航空機がメガクラスターだという前提で取り組みを進める必要がある。

それが成果を上げれば、経済的痛みを伴う休業要請や外出自粛など日常生活の制限はほとんど不必要だ。よって、感染防止か経済優先かといったジレンマは起こらない。だだ、それを行うには、今の体制は十分ではない。新作戦への政府による覚悟と重点化が必要だ。

検査の組み合わせにより短期間で追跡可能

歴史的に医学的な診断検査を感染抑止に使うということは初めての経験だ。がん検診は集団のスクリーニングだが、あくまでも目標は治療で、早期に発見することが早期の治療につながるということだ。感染症の拡大を防ぐために検査が行われたというようなことはなかったので、どういう検査能力があれば効果的かは議論されてこなかった。

第1波では基本にPCR検査を据えていたが、精度と結果が出るまでに時間を要し場合によっては数日かかってしまうことを考えると、単独、あるいは日をおいての2回のPCR検査をしても、感染抑止は効率的に行えない。もっと良い方法がある。10~30分で検査結果が出る抗原検査と組み合わせることだ。

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