超高齢社会に商機を見る、シブい異業種企業

ハネウェルと提携解消した"あの会社"の意外な戦略

迫り来る超高齢社会。各地の自治体が対応を進める中、介護になじみが薄そうな異業種企業の存在感が高まっている(撮影:尾形文繁)

2035年には世帯主が65歳以上の高齢世帯のうち、1人暮らしが約4割、762万人に――。国立社会保障・人口問題研究所が4月11日に発表した将来予測は、独居老人対策が全国的に深刻さを増す状況を浮き彫りにした。

こうした中、東京の大田区や練馬区などの自治体は、希望する高齢者の身近に通信端末を置いて健康状態を見守る「緊急通報」や「巡回介助」を民間業者に委託。ハード(施設)ではなくソフト(サービス)で、より多くの高齢者にきめ細かく手を差し伸べようとしている。

実は、このような業務を受託する民間業者の代表格は、介護や看護の専門業者でも、名の知れた異業種企業でもない。建物の工事や管理業者の間では知る人ぞ知る産業機器メーカー「azbil(アズビル)」。ビルや工場の計測制御・自動化システムを主力とする企業だ。2年前に変更する前の社名は「山武」。米国のハネウェルと提携を解消した企業といえば、ピンと来る人もいるだろう。

自治体向けに20年超の実績

その100%子会社である「アズビルあんしんケアサポート」(東京都大田区、従業員650人)は、競合他社にはない総合支援モデルを開発。すでに約400の自治体の介護福祉事業に組み込まれ、20年以上の提供実績を積んできた。収益源は「緊急通報」と「健康支援相談メニュー」。約1年前からは、熊本市東区を皮切りに、大田区、千葉市で自治体と連携しながら、ヘルパーによる要介護者への定期訪問を始めている。  

アズビルは、こうした実績があることを対外的にあまりアピールしない。そのため、一般の認知度は低い。それでも、同社の「緊急通報サービス」は、シニア向けビジネスにかかわる幅広い業者の間ではよく知られた存在だ。機械警備大手などが手掛ける同種のサービスよりも、健康相談などのアフターフォローで定評がある。厚生労働省が超高齢社会を見据えた「在宅介護看護」へ誘導を図る方針を明確に打ち出しており、同業者からは業務委託や提携のオファーが相次いでいる。

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