HSPの人が繊細さと上手に付き合っていく心得 心の悩みから来る「身体の異変」に蓋をしない

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大木亜希子(おおき・あきこ)/2005年、ドラマ『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)で女優デビュー。数々のドラマ・映画に出演後、2010年、秋元康氏プロデュースSDN48として活動。その後、タレント活動と並行し、ライター業を開始。2015年、しらべぇ編集部に入社。2018年、フリーランスライターとして独立。著書に『アイドル、やめました。AKB48のセカンドキャリア』(宝島社)、『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(祥伝社)(写真:編集部撮影、取材はZoomで実施)

以前、私は「身を切るライター」と言われていました。体を張ったり、自分の過去を赤裸々に話したりすることで、それを商売にしているといういじわるな目線の方もいました。私としては「それは違う、それを表現に転嫁することで、私自身の癒しになっているよ」と言い続けていたのですが、それも疲れてしまいました。

でも、作品を生み出したことでいろんな感想をいただくうちに、ようやく、「自分の主軸は自分であり、他者からの評価ではない」と気づきました。「生きづらさを感じていた自分⇒自分の過去の体験談を語り終えた⇒自分が興味のある分野を新しく吸収し、ライター業だけでなく、脚本業も、作家業もやってみようという新しい自分になれた」という気がして、自分でも驚きでした。

人間には悩みから“切り替わる地点”がある

武田:人間は、悩んでいる状態から、悩みがある程度解消し、これから何をやっていこうか、どんなふうに生きていこうかと“切り替わる地点”があります。マイナス状態からプラスに切り替わる “ゼロ地点”です。悩みが大きい時は、悩みの解消だけで精一杯ですが、それが終わると、やりたいことが出てくる状態になります。過去にとらわれずにこれからやりたいことを見つけていこうという段階に差し掛かっておられると思うので、仕事の内容も変わってくると思います。

大木:武田さんの著書に、「吹き抜ける風を感じながら銀杏並木を歩いていると、黄金色の葉っぱが舞い落ちてきて、それだけで世界が美しかった」というくだりがありました。今まで30年生きてきて、そんなことを感じられる余裕がなかったのですが、今なら共感できます。

武田:ゼロ地点を通ってプラスになると、五感で感じるものが増え、体の感覚もよりクリアになります。大木さんの著書『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人と住む選択をした』の中でも、それが如実に表現されています。「ササポン(大木さんと同居している男性)と食べたすいかが甘かった」「ササポンの別荘の家庭菜園で採ったかぶがおいしかった」と書かれている一方で、ノルマ飯(※結婚適齢期までに結婚できるように、男性と食事をして恋人候補者の手札をふやしていく行為を大木氏は著書のなかでこう名付けている)のときは、味の話が出て来ません。

ササポンといてリラックスしているときは五感で世界を感じているけれど、ノルマ飯のときは五感がない(笑)。

大木:書いている自分でさえ気づかなかった! すごい視点ですね。

――大木さんにとってのササポンのように、例えば心を許せる友人、恋人、配偶者など誰かのおかげでHSPが救われるということはあるんでしょうか。

武田:あります。誰か1人本音を話せる人ができると、変わっていきます。

「誰も自分のことをわかってくれない」と思っている方が結構いるのですが、心を許せる人が1人でもできると、「人に話してわかってもらえるんだ」ということがわかります。そうすると、「理解してくれる人なんていない」と思っていたものが「いる」になり、その状態で人と接するようになるので、理解者が2人、3人と見つかっていきます。

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